―失声症― ―にのあい―part９ (ページ7)

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■―２４７― ページ7

潤side

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家に帰ったら

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智「お帰り、潤。早かったね」

潤「智」

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タイミングが良い事に智はもう帰ってきてた

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智「今日は授業が早く終わったんだ」

と、言って湯気の立つ熱そうなお茶をすすった

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ソファーに座る智の横には和もいて

本を読んでいた

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潤「あのさ、智……」

智「何？」

潤「もう野村慎夜を、一切ここに来させないでくれる？」

智「え……」

和「は……？」

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本を読んでいた和も

意味がわからない、と言わんばかりに反応した

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潤「あいつは普段はニコニコしてるけど

本当は最低な奴なんだよ

人を、どん底に叩き落そうとしてんだよ……」

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智なら信じてくれる、と思ったが

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智「潤……相手の事をよく知りもしないで

そういう事を言うのは良くないよ」

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……信じてくれなかった

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潤「嘘とかじゃなくて、本当にっ……」

和「そういうの、いい加減やめて

やたらと人の事を悪く言うの……最低だから」

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今までの

自分の行いが悪かったから

こういう反応されるのは、当たり前なんだろうけど……

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智「潤、もうそんな事二度と言ったら」

潤「もういいよっ……！」

智「あ……」

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事実を言っても

全く信じてもらえないってのは、辛い

智なら絶対信じてくれるって思ったのに

俺よりも、猫被った野村を信じるってのか……？

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智に信じてもらえなかった事が悲しくて

リビングから出た途端、俺は壁にもたれかかって

ズルズルとその場に座り込んだ

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頭を抱えてると、足音が聞こえてきて、こっちに近づいてきた

ゆっくり顔を上げたら

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潤「翔くん……」

目の前に、翔くんがいた

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翔「潤くん……泣いてる……」

潤「泣いてないよ……」

翔「ううん。心が……泣いてるよ……？」

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悲しそうな顔をしながら翔くんは

華奢な体で俺を抱きしめた

静かにその華奢で小さな背中に腕を回し

気づかれないように俺は頬に一筋の涙を流した

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