お兄ちゃんになんて…34 ページ38
.
貴方side
時計の音だけが部屋の中に響くくらいお互いの会話が無くなる。この気持ちを忘れるために。戻れるように……決断したはずなのに。今の兄をお兄ちゃんと呼ぶ勇気は無い私は結局流されてしまうのだ。
『…………け、賢二郎くん？』
「なんで………っ」
苦しそうに呟く兄。さっきまで下を向き俯いたと思えば名前を呼ぶことでまた目線が絡む。その兄の顔はさっきより辛そうな顔だけど、ほんの少し愛しい人を見るような顔で私を見つめた。
なんでそんな顔で私のことを見るのか。
なんでこんなことをしているのか。
兄のことが分からなくただただ呆然とする。
色々と思考を働かせてた時に頬を優しくなぞられる。そのまま唇も同じようになぞられる。突然のことで顔が熱くなる。
「なぁ……“お兄ちゃん”て呼んでみて」
お兄ちゃんと呼ばれたくないと言ったりお兄ちゃんと呼んでと言ったりよく分からないことを言う兄に困惑する。
呼ぶことでどうなるか……何となく分かっていた。きっと私の望む兄妹に戻れないかもしれないって心の中で分かっていた。
分かっているけど……
『………………お、お兄ちゃん』
そのお願いを聞いてしまうんだ。
「なんで。……分かってて呼んでんのか？」
『分かっているから呼んだんだよ。…………お兄ちゃん』
次は私自身の意思でお兄ちゃんと呼ぶ。お兄ちゃんは目を見開いき驚愕の表情をする。
「……バカだろ。」
兄の香りが少し強くなったと思えば視界は兄の顔がいっぱいに広がりほんの一瞬だけ何かが唇に触れたんだ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 314人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あいにゃ(プロフ) - その口塞ぐってどうやって！？ｷｬｰ♪───Ｏ（≧∇≦）Ｏ────♪更新ありがとうございますこれからも応援してます！！ (3月31日 0時) (
レス) @page22 id: 879321304a (このIDを非表示/違反報告)
ナノハナ - ぐぐぐ…私も新たな特典欲しいけどお金が…ううう〜…、楽しんでくださいね！！ (3月23日 15時) (レス) @page18 id: 137f80559f (このIDを非表示/違反報告)
みく(プロフ) - ナノハナさん» あれはほんと泣いちゃいますよ（т-т）それ分かります！何でこのシーンカットしたの！！って思うところ多くて…無視してでも見てよかったて思えるくらいの内容でしたけど…カット無しでアニメも、作成して欲しいですよね… (3月16日 1時) (レス) id: 1f10f8002c (このIDを非表示/違反報告)
みく(プロフ) - ナノハナさん» ありがとうございます！のんびり更新になりますが今後もよろしくお願いします！ (3月16日 1時) (レス) id: 1f10f8002c (このIDを非表示/違反報告)
ナノハナ - 私も映画観ました！！もう、やばかったですよね！！終始泣きそうで…カットされた部分、私もアニメで見れることを願ってます！私的には「こいつらがきらいだ！！！！」がなかったのが少しショックでした。（それでも十分に満足できましたけどね！！） (3月15日 21時) (レス) id: 137f80559f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：勿忘草 | 作成日時：2024年3月3日 19時
