お兄ちゃんになんてなりたくなかった

お兄ちゃんになんて…28 ページ32

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貴方side




結局あの後、兄からとどいたメッセージが気になり授業なんか集中出来ず上の空だった。



当てられても答えられず先生に注意されてしまった。




『はぁ………』


「A大丈夫？笑」



『りっちゃん…………りっちゃ〜ん泣』


「え、ほんとどうしたの？？」




昼休憩、声を掛けてくれたりっちゃんに泣きつく。そして昨日と今朝と兄のことを掻い摘んで相談する。




「へぇーそれは大変だね」


『他人事だと思って………絶対思ってないでしょ』



「うん。」



『ちょっとお兄ちゃんって呼んだだけでそんな怒らなくてもいいじゃんね』




と、ブツブツ愚痴をこぼす。ちなみに話す過程で兄が賢二郎くんであることを伝えたらちょっと驚かれた。まぁ私と兄は正直顔とか性格とか似てないからなぁ。




「にしても…あの白布先輩がね。ちょっと意外」



『何が？』




「んー…Aは気にしなくていいよ。」



頭をポンポンと撫でられる。



『？』




「昨日も話したけどAが呼びたいように呼べばいいじゃない。まぁそれで白布先輩が怒るようなら辞めておいた方が身のためだと思うけど。笑」





ケラケラ笑いながら言い放つりっちゃん。こうサバサバしてる？ところがりっちゃんの好きなところの1つだったりする。




「にしても……白布先輩もだけど、AはAで何でそこまで"お兄ちゃん"て呼び方に拘るの？」






なんで。何でだろうか。
どんな呼び方をしても兄であることは変わらないし兄妹であることは変わらない。
けど……







『……お兄ちゃんて呼ばないと戻れない気がするからかな。』




「戻れない？」





『うん。小さい頃のただただ仲のいい兄と妹の関係に』










あの頃の。純粋に兄が……






賢二郎くんが……







お兄ちゃんが好きだった。







“お兄ちゃん”と呼んでいたあの頃のように。






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