検索窓
今日:5 hit、昨日:0 hit、合計:23,556 hit

ページ10

大耳side

俺は今、朝練の為に学校に向かっとる。

向かっとる先で、一人の生徒と鉢合わせになった。


「…」


前髪が伸びとって、俯き加減でヘッドフォンをしながら歩いとる。

新学期から同じクラスなったまだ名前も知らん生徒。

ある意味、全くと言ってええほど人との関わりがあらへんで有名な生徒や。


『…おはようさん。えらい朝早くから学校行っとんのやな』

「?」


声をかけられたことに気づいたその生徒は、俺の方向いてキョトンとしとる。


「…おはようございます?」

『ぶふっ!なんで疑問形なん?』


つい吹き出してしまったことに、慌てて言葉を紡ぐぎながら、俺は名前を聞いた。


『そう言えば、名前。教えてくれへんか?俺は大耳練や』

「私は稲荷焔。同じクラスだったよね?よろしく」

『おん。宜しゅう』


落ち着いた雰囲気と言葉遣いに、いつも夢に見ていた影と、稲荷が重なった。


『なぁ、稲荷。一つ聞いてもええか?』

焔「ん?なに?」


ふと俺を見上げた稲荷の目は、やっぱり前髪で見えわしない。


『稲荷って、弟さんおる?俺バレー部入っとんのやけど、後輩に稲荷 獪岳っちゅうがおるんやけど…』

焔「ああ、獪岳は私の弟だよ。いつも弟が世話になっているね」


俺はふと疑問に思ったことを聞くと、何処か嬉しそうな声色を放ちながら肯定される。


『こっちも、ええ戦力の提供ありがとさん。獪岳にはえらい働いてもろうとるからな。いつも助かっとる』


そう俺が話せば、稲荷は前髪の下で微かに口角を上げた。


焔「そっか。ちゃんとやってるんだね。とても誇らしい気持ちだよ。今度獪岳の練習中のこと、聞かせてくれない?」

『せやったら、部活見にくればええやん。見学は自由なんやし』


ぽんと手を叩いて相槌を打った稲荷は、到底話に聞いていた奴とは違っていて、どこか可愛らしい奴だ。


焔「その手があったね。それじゃあ放課後あたりに見学させてもらうよ」

『おん。獪岳もモチベーション上がると思うしな』


話しとる間に学校に着いて、下駄箱で稲荷とは分かれた。

さっさと練習着に着替えて体育館に行くと、何や騒がしい声が聞こえてきよった。


『なんや、どないしてん?』


俺が近くにいた路成にそう聞くと、路成も何処か驚いたような顔で見上げて言ってきた。


赤木「獪岳、"お姉さん"がおんのやって…」

『……はぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああ??!!』


その時、俺は生まれて初めて本気の大声を上げた。

狐→←狐



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (42 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
93人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

獅子唐(プロフ) - 夢主の名前は固定ですね。 (2020年5月8日 11時) (レス) id: eb370bf788 (このIDを非表示/違反報告)
亜弥(プロフ) - これからの展開がとても楽しみでお気に入り、評価させて戴きました!続き楽しみに待っています!質問なのですが、夢主の名前は固定なのでしょうか? (2020年5月8日 2時) (レス) id: 05697c536f (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:獅子唐 | 作成日時:2020年5月7日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。