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獪岳side

俺には、焔と同じように前世の記憶がある。

もちろん、あのクズや先生、上限の壱のこともちゃんと覚えている。

その中でも、焔は俺にとって、一番信頼における人で、姉貴だ。

俺と焔の出逢いは、無限城だった。


「おや?黒死牟。その青年は?」


凛とした声と黒い狐の姿をしている焔の金色の瞳には、数字が刻まれていた。


『上限の、"零"…!!』


壱から陸までが俺たちの知っている十二鬼月だっため、初めて見た時は大いに驚いた。

しかも、焔は俺が鬼になる少し前に鬼殺隊内で鬼なってしまった隊士と騒ぎになっていた炎柱の元弟子。

その二つの驚きに俺はただ呆然と奴を見つめていた。


「初めましてだね。私の名前は稲荷 焔。一応だが上限の零だ。よろしく」


隊士内で、焔のことを知っていた奴から聞いた話では、元気がよく活発的な奴だと聞いていたため、落ち着いた声と物腰に、更に俺は驚いた。


「もしかして、私のことを鬼殺隊で聞いていたかな?」

『は、はい!元気で活発的な、炎柱の元弟子だと…』


そこまで言うと、焔は悲しそうに微笑んだ。


「一つのことで、心というものはコロコロ変わるものだよ。私自身も、自分がこんなになるなんて思っても見なかったさ」


その日からと言うもの、強くなる為、黒死牟や焔に修行を付けてもらいつつ、話をしていくうちに俺は焔の鬼殺隊を出た話を聞いた。


『そうだったのか…』

「うん。私は、嘘でも師匠に"信じている"と言ってほしかった。けど、師匠は私が当時大切にしていたものを全て取ってしまった。悲しかったよ」


修行時の凛々しい感じは消え、弱々しいただの人のような雰囲気で、焔は言った。


『今は、別な大切なものは出来たか?』


そう俺が聞けば、焔の悲しげな表情が、ぱぁと明るくなる。


「ああ、出来たよ。ただの人の子なんだけどね。とってもいい子達なんだ。いつか獪岳にも教えてあげるよ」


愛しい、我が子を自慢する親の様な微笑みに、その子ども達が、どれだけ焔に愛されているのか、焔の心の拠り所になっているのかが分かった。

最終決戦の時、焔は無限城から一度出て行った。


「最後に、あの子達の顔を見てくるよ」


酷く悲しみに満ちた微笑みを残して、焔は無限城を出て行った。

そこから、俺はあのクズに首を切られ、死ぬ、そう感じた時…


「獪岳、お疲れ様」


どこか安心したような微笑みを浮かべた焔に見届けられながら、俺は死んだ。


『(ある意味、いい死に様だな)』


薄っすら笑いながら、俺は体育館の扉を開いた。

狐→←狐



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獅子唐(プロフ) - 夢主の名前は固定ですね。 (2020年5月8日 11時) (レス) id: eb370bf788 (このIDを非表示/違反報告)
亜弥(プロフ) - これからの展開がとても楽しみでお気に入り、評価させて戴きました!続き楽しみに待っています!質問なのですが、夢主の名前は固定なのでしょうか? (2020年5月8日 2時) (レス) id: 05697c536f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:獅子唐 | 作成日時:2020年5月7日 12時

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