鬼 ページ13
焔side
今、私は、どんな顔をしているのだろう。
出来る限り口角は上げないようにしてはいるけど、きっと、目は、愛おしいものを見るように緩んでいるのだろうな。
『(前髪のばしてて良かった)』
楽しそうに会話をしている彼らは、私の記憶の奥底に、どの記憶よりも大切にしてきた、愛おしい人の"子ども達"そのままだ。
『(ああ、あの時はまだ今よりも幼い子どもだったのに)』
彼らは覚えているのだろうか。
もし覚えているのなら、それはそれで嬉しいけれど、少し複雑な気持ちね。
なんせ、
私と彼らの出会いは、酷いものだったから。
あれは、前世、上限の鬼になった次の日だったかな。
煉獄から、鬼殺隊から、鬼からも、どうしようもなく離れたくなって遠くまで逃げた。
『(はぁ、月が綺麗だな)』
私は人里の近くにある山の中の立派な神社の屋根に乗って、夜の月を眺めていた。
そんな時…
「待たんか！ガキどもぉ！俺が喰らうたる！！」
訛りのある声が聞こえ、その方向に目を向けると、そこには下品な笑い声を上げながら走る鬼と、鬼に追いかけられる小さな子どもが数人いた。
「うわっ！」
ドテッ
1人の子どもが小石に転んでしまい、他の子達がその子を守るように周りに着いた。
「ぎゃはははは！さぁて、どいつから喰ってやろうかぁ！」
鬼に怯える子ども達の中、1人の男の子が前えで出来た。
「俺を、俺を食ってええから、せやから、皆は、逃がしてっ」
やはり、鬼のことが怖いようで、声が震えていたが、その子は、真っ直ぐな瞳をしていた。
「へへへ！ええで、お前から喰ってやる！」
「っ…！」
鬼がその子に襲い掛かったその時…
『ごめんなさいね。でも、これ以上人としての道を踏み外してはいけないよ』
ボッ
「グアアアアッ！！」
私は、その鬼を自分の血鬼術で焼き殺した。
『大丈夫？』
私がそう聞けば、子ども達は一気に身体から力が抜けたのか、その場に座り込んでしまった。
『大丈夫だよ。私は君達を食べることも、傷つけるようなこともしない』
「ほ、ホンマ、ですか？」
一番前にいたその子は、真っ直ぐに私を見て言う。
『約束する。君にも、君のお友達にも、何もしない。ただ、怪我してるなら手当てさせて？大丈夫。本当に何もしないよ。だから、もう泣いてもいいんだよ？』
優しくそう告げれば、子ども達は一斉に私に抱きついてきて、大きな声を上げて泣いた。
その中の子ども達が、目の前にいる。
ああ、なんて幸せなことなのだろう。
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獅子唐(プロフ) - 夢主の名前は固定ですね。 (2020年5月8日 11時) (
レス) id: eb370bf788 (このIDを非表示/違反報告)
亜弥(プロフ) - これからの展開がとても楽しみでお気に入り、評価させて戴きました！続き楽しみに待っています！質問なのですが、夢主の名前は固定なのでしょうか？ (2020年5月8日 2時) (レス) id: 05697c536f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：獅子唐 | 作成日時：2020年5月7日 12時
