検索窓
今日:8 hit、昨日:0 hit、合計:23,559 hit

ページ1

北 side


幼い頃からやった。

今よりももっと昔のような外の景色と、夜の月が明るく照らしているそんな中、一つの大きな影が、ユラユラと背にある物を揺らしながら、まだ5歳くらいの"俺達"と小指を結んでいる。

その影の持ち主は、いつも月の逆光で表情は見えんかったけど、その切れ長な金色の瞳だけははっきりと分かっとった。そんで必ず…


〈いつか、また、巡り合うことが出来たなら、私を、皆の_____。約束だよ?〉


最後の方は無音で、今にも泣きそうな、でも、凛とした声でそう約束を交し、目を覚ます。


『(まぁ、目醒めはスッキリしとるからええけど…)』


いつも、学校の制服に着替えながらそう考える。

この夢を見るんは、俺だけやない。

稲荷崎バレー部のレギュラーメンバー、

大耳練。

赤木路成。

尾白アラン。

宮侑。

宮治。

角名倫太郎。

銀島結。


この7人も、夢を見始めた時期は様々や、けど、必ず同じ視点で同じ言葉を紡がれ、目を覚ます。

しかも、

子どもの頃から何や知らんけど、淡い紫色のお守りを持っとって、親ですらそれの出所は知らへん。

それと同時に、何故かいつもどっかしらに狐がおって、危険なことがあると姿を見せてくる。

何故かは分からん。

ただ分かっとるのは、

お守りは、夢ん中でいつも出逢うあの影からもろた大切なもんやと言うことや。


「信ちゃん。おはよう。今日も夢、見たのかい?」

『おはよう。おん。また、あの夢やった』

「そうかい。そりゃあ良かったねぇ」


昔、初めてその夢を見た時、婆ちゃんにその事を相談した事があった。

[きっと、ただの夢や。すぐに見いひんくなくなる]とでも言われるんかと思っとった。

やけど、、婆ちゃんは予想に反して、嬉しそうに笑ってこう言った。


[それはきっと、信ちゃんの"前世"やねぇ。きっと、信ちゃんをずっと守ってくれているんやで。いつも危ないことがあった時、狐さんが信ちゃんのそばにおってくれたんは、その影さんが狐さんに信ちゃんを守るように言ってくれたんやで。良かったなぁ、信ちゃん]


前世なんて、幼い頃はよう理解出来ひんかった。

大きくになるに連れ、色んなことを知って行く中でも、その夢だけは消えへんかった。

その夢ん中の影は、暗くてよう見えへんのに、何故かいつも【綺麗や】と思う。

理由も何も、分からへん。

やけど、ただ一つ


『…また"逢いたい"』

「…ふふ、逢えるで。きっと」


無意識に呟いていた言葉を、婆ちゃんに微笑まれながら、朝食を食べた。

鬼→



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (42 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
93人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

獅子唐(プロフ) - 夢主の名前は固定ですね。 (2020年5月8日 11時) (レス) id: eb370bf788 (このIDを非表示/違反報告)
亜弥(プロフ) - これからの展開がとても楽しみでお気に入り、評価させて戴きました!続き楽しみに待っています!質問なのですが、夢主の名前は固定なのでしょうか? (2020年5月8日 2時) (レス) id: 05697c536f (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:獅子唐 | 作成日時:2020年5月7日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。