シルエット４

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どやって引き留めたらええんやろ。


「とも、ココアでも飲む？
外、ちょっと寒かったやろ？」


「ありがとう。嬉しい」


「とも、寒いから炬燵入っとき？」


「うん。
懐かしいな。
この炬燵も。
大毅の部屋、夏でも炬燵置いてたよな」


「今もやで」


「なんでやねんな」


俺が狭い台所でお湯沸かしてるうちに、
ともは、また何やら見つけたらしい。


「なあ、大毅、卒アル見てもええ？」


「うわっ、あかんっ」


「なんでよ、ええやん。
見たい」


「もお・・・」


俺が何言うても、もう開けてるし。


「うわっ、
濱ちゃん先生、気取ってるやん！
桐山先生、優しかったよな。懐かしいなあ。
うわ、俺の天敵伊藤や。
こいつ相変わらず、悪い目つきしてるわ。
康二、なんなん、このおかんパーマ。
これはあかんやろ」


とも、めっちゃはしゃいでやるねん。

島の暮らし、嫌なことの方が多かったはずやのにな。

大切な思い出のように、
昔のこと話してくれて。


それだけで胸があったかくなる。


そんで、ついに、
アルバムん中に俺を発見してしもたようや。


「高校生の大毅や！
この短髪と学ラン！
変わらへん気がしたけど、
やっぱ今とは違う気がする」


俺と写真見比べてるから、
めちゃめちゃ恥ずいって。


「アルバムはもうええやん」


卒アル鑑賞は、
俺が強制的に終了したった。


二人でココア飲んで、
まったりタイム。


２３時過ぎに、
ドアがコンコンってノックされて。


「しげ先輩！
お風呂、お先です！
あと、しげ先輩だけやから！」


廊下から、二つ向こうの部屋の、
後輩の大橋の声が聞こえた。


「了解！ありがとう！」


大橋の声がして、足音が遠ざかったら、


「大毅、お風呂の番やって」


そう言うて、ともが、ふふって笑った。


なんがおかしいんかは、
ちっとも分からへんけど、
可愛ええから、なんでもええ。


「俺、ここで待ってるから、
ゆっくり入っておいでや」


とも、帰るつもりはなさそうで、ほっとする。

今日はもうずっと一緒におれるよな？


ひとときも離れたくなくて。


めっちゃええ案が浮かんだ。


「・・・ともは？」


思わず、聞いてた。


「なにが？」


きょとんとした顔して、聞き返すともに。


「ともも一緒にお風呂入ろ？な！」


素直な気持ち、溢れてもうた・・・

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