シルエット４

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ともは、みんなに囲まれて、
質問攻めにあって、

そんでもって、
ちやほやされまくってる。


「青南大の経済なん？
じゃあさ、松坂って知ってる？
高校ん時のツレやねんけど」


「神山くん、ダンスやってんねや？
俺も実は子供の頃な、・・・」


「内定先、〇〇なん？
なになに？
ITシステム部希望なん？
めっちゃカッコええな！」


「このピアスってどこの？
めっちゃ似合うてんなあ」

　
みんな、話繋げようと必死やん。

もはや、お姫様状態やろ。


ともは、みんなに平等ににこにこして、
きちんと質問に答えてる。


なんちゅう感じの良さ。


島の高校に転校して来た初日からは想像も出来へんで。


ともは、いろんな顔持っててさ。

どの、ともも、大好きや。


やねんけどっ。


今は、その可愛え過ぎる笑顔が、憎らしい。


そんな愛想良うして。

川上のヤツに狙われたらどないするねんて。


ともを見つめてる川上の視線、
ねっとりしてて、
思いきし獲物を狙うてるハンターやんけ。


ともは男にはモテるタイプちゃう、
言うてたけど、そんなわけない。

事実、俺も小瀧も惹き寄せられてるわけやし。

心配過ぎる。


うちのサークルのテーブルに、
注文を取りに行く。


「ラストオーダーのお時間です」


「もうそんな時間？
楽しいて時間経つの早いわ。
神山くんと一緒やからかな」


川上のヤツ、でれでれしやがって。

普段の俺に対する態度と全く違うやないかいっ。


「神山くん、ほとんど飲んでへんし、
あと一杯だけでも付き合うてよ」


川上め、
俺の彼女に勝手にお酒を勧めるとは、
けしからん。


「じゃあ、一杯だけ。
レモンサワーにしよかな」


ともも、ともやろ。

すっかりその気やん。


「ともは弱いねんから、ノンアルしとき」


つい口出ししてもうた。


「えー、大丈夫やもん、一杯ぐらい」


ともが口を尖らせる。


ほとんど飲んでへん言いつつ、
２、３杯はグラス開けたんちゃう？


呂律があやしかったし、ほっぺたも赤い。

それに何より、この甘えた口調。


「あかん、やめとき」


「なんやねん、しげ。
彼氏みたいな言い方しやがって」


川上が割り込んできたから。


「やって、俺が彼氏やねんもん」


ずばっと答えてやったで。

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