シルエット３

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ともの前で答えづらい事、聞いてくる。


「まあな」


「ふーん。
惚れられてるからって、
あぐらかいてんすね」


「そんなんちゃうけど・・・」


小瀧に何が分かるねん。

好きになろうって、めっちゃ努力してきたのに。


やけど、もう限界かなって・・・


キスしても何しても、

胸が締めつけられたり、

ともに感じたような感覚、全くしいひんねん。


そん時、電話が鳴った。


噂してた美桜ちゃんからや。


ともに聞かれたくなくて、
空席が目立つテラス席に出る。


「大ちゃん、練習終わった？」


掠れた、消え入りそうな声で聞かれる。


ともに再会してからは、

別れよかな、って。

そればっかり、頭、よぎるねんな。


好きにならなあかんって使命感とは、
真逆の感情やのに。


同じバンドのメンバーやし、
ずっと目標にしてきた学祭あるし、
とてもやないけど、今は言われへん。


今のともが俺を好きやなくても、
恋人に戻られへんかっても、


もう、美桜ちゃんの方を見ることはないって、
気付いてしまった。

俺、最低なヤツやな・・・


「うん。終わったで。
今、みんなで飯食うてて・・・」


「そうなんだ・・・」


「どうした？」


「ごめんね。
一人暮らし始めてから、
こんなに体調崩したの初めてで。
心細くて。
寂しい・・・」


「・・・大丈夫か？」


すぐ行くって、なんで言うてやられへんねやろ。


「大ちゃん、お願い。
来て欲しい・・・」


その時、ガラス扉の向こうから、
ともが出て来た。


夜風に当たって、
酔い覚ましでもするんかな。


「美桜ちゃん。
ちょっと待ってな、ごめん。
かけ直すから」


一旦、電話を切る。


俺は切なさに、押しつぶされそうやったのに。


ともは酔っ払ったまんまで、
笑って言うてん。


「彼女？はよ行ってやりいや」


とんでもない鈍器で、
頭、ぶっ叩かれたような衝撃やったけど。


よう考えたら、当たり前やんな。


俺ら、ただのバンドメンバー、
ただの男友達やねん。


「病気して気弱になってんねやろ？
ここで行かんかったら、
絶対に恨みかうで。
女の子は、わがままやねんから」


ともが、追い討ちをかけるように言う。


「そ、うやんな。
女の子ってわがままやもんな」


無理に答えた、
俺の声は、情けないほど、震えてた・・・

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