シルエット３

守っていく。１ ページ41

赤side


ともから、一緒に学祭回りたい言われて。

浮かれまくってる。

ほんまに単純な俺。


昨日の感じでは、
もっと思い詰めたような、
　

「話がある」


のトーンやってんけど。


ま、えっか。


そんな事よりっ。


ステージん上では、
凄い盛り上がりに、
すっかり忘れとってんけどさ。

いや、なんとか忘れられててんけど。


まだ小瀧にキスされてる場面が、
頭にこびりついてる。


やから、怒ってるねんけどっ。
　


「しげ、はよ行こ。
閉まってまう前に色々見たいねん。
俺、迷子なるから、連れてってや」


こんな可愛い甘えられたら。

でれってなってまうやんけ。


昨日、ともから話ある言われた時は、


なんか相談事かな？

とか考えたり、


もしや、俺への告白とか？

なんて一人勝手に浮かれたり。


挙げ句の果ては、

学祭終わったら、もう友達でもない、

言われたら、

立ち直られへんて、落ち込んだり。


気持ちのアップダウン激し過ぎて、
めっちゃ忙しかってんて。


今朝、小瀧から、


『重岡先輩へ。
今日が俺と彼女の最後のデートです。
つきましては、
ライブ始まる少し前に、
彼女をお返ししますので、
本物の彼氏さん、
正門まで迎えに来てやって下さい。
小瀧望』


やけにかしこまったメールが届いた。


小瀧、別れる決心してくれてんやって分かって。


あんなに好きやったのに、
それがどんなに辛い決断やったか。

分かるから、胸が痛かった。


そんなわけで、

ともの気持ちは俺にあるんやんな？って、
一応、期待はしてるねんけどさ。

はっきり、

俺ら恋人やって、
ともは俺の彼女って、

言葉でケジメつけたいねん。





日暮れて、キャンパスに灯が灯り始めた。

ともが俺を振り返る。


「あっちに綿菓子あるやん！食べよ」


はしゃいで、可愛い。


一つの綿菓子を二人で半分こしながら、歩く。


「初めてデートした夏祭りの時みたいやな」


俺の言葉に、とも、目をまん丸にした。


「あれって、デートやったん？」


「ちゃうん？
好きな子と出かけんのはデートやん」


「ま、そっか。
けど俺はまだ大毅の事、
好きと違うかったけどな」


素直ちゃう事、言うてるけどさ。


「大毅やって」


あかん。

嬉し過ぎて、からかってもうた。

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