シルエット３

キミの事情。３ ページ1

緑side


「えっ、あ、まあ、そやけど。
無理にとは言わんし・・・」


大毅はちょっと迷惑そうに見える。

俺の方、絶対に見いひんしさ。


その態度に、イラッときてもうて。


勢いで、


「入部します」


言うてた・・・









その日は、
俺らの歓迎会や言うて、
駅前の居酒屋で飲むことに。


望はまだギリ１９やから、
ノンアルコール。


なんか成り行きで、
こんな事になってもうたけど・・・


本音では嬉しい。


座敷のおんなじテーブル。

一番端っこに座ってる大毅を、盗み見る。


めっちゃかっこ良くなってるやん。


その、服装はなんていうか、
相変わらず微妙やねんけどな。

そのどことなく垢抜けてない感じが、
またええいうか。

俺、何考えてんねやろ。


他人のフリしてるみたいやし、
俺もそれに合わせる事にしたけど・・・

確かに、どういう付き合い聞かれたら、
言葉に窮するもんな。
　

ビール飲み干す喉元。

半袖からのぞいてる二の腕が、
あの頃よりずっと逞しい。


表情もさ、前よりずっと落ち着いてて。


あれから４年も経つんやし、
大人になったよな。


対して、

俺は、あんまし変われてない気がして、
ちょっと心配なったりする。


「しげ、今日絶不調やな！どうしてん！
おちゃらけてんのがお前の本領やのに」


あれ？

部長に突っ込まれてるあたり、
変わってへんのかも・・・


チラッとこっち見てきて。

目が合う前に、ばばっと逸らされた。


なんか、地味に傷付くわ。


昔はしつこいぐらい、話しかけてきたくせに。






居酒屋出てすぐの、
駅の改札口で。


「えー、ほんまに送らなくてええんすっか？
神山先輩、可愛いのに襲われません？
俺、心配過ぎます」


毎度しょうもないことを言うてる望を、
適当にあしらう。


「のん、俺、男やねん。
しかも、うち、すぐそこやしな。
のんは大阪まで帰らなあかんやろ？
さっさとせんと終電なくなんで？」


「そうでした！
神山先輩、家着いたら、メールするんで！
俺、帰りますっ」


だだっとでっかい身体が走り去ってく。

台風みたいやな、ほんま。





夜やのに、暑さが残ってるホームに一人。


まだ胸がざわめいてる。

４→

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