シルエット

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「ごめん。流星。
あんな、」


しげのこと、なんて紹介しようか、
一瞬、躊躇ってしもた。


友達。

そう言うてしまえば、それだけやねんけど。


「この子、あの島の子？」


流星の方が先に察して、聞いてくる。


「うん。しげって言うねん」


しげの話、流星には、した事ない。


話してもうたら、

流星に、自分の気持ち、見透かされる思たから。


それが怖かった。


「しげ、くん？
俺は藤井流星。
流れ星って書いて流星。
神ちゃんの親友。
よろしくな」


流星がしげに声かけてさ。

しげは、最初、流星に、
ちょっとびびってるみたいやったのに。


「月ヶ瀬高校２年サッカー部、重岡大毅です。
誕生日はなんと今日！
好きな食べ物はグミとニラ、
いや、一番はピオーネです！」


でっかい声で自己紹介してんねん。


「重岡くんて、おもろいな」


流星、笑い出してさ。


「神ちゃんの友達なら、俺も友達や。
カラオケでも行こうや」


そんな流れに。





しげは、

カラオケボックスってとこに、
初めて来たらしいて、そわそわしてる。


「俺、歌とかあんまし知らんけど・・・」


「えー、テレビの歌番組ぐらい見るやろ？」


「村では民放は２つしか映らへんし、
俺にチャンネル選ぶ権利はなくて。
歌番組とか見た事ないねん。
うちネットも繋がれてないし、
たまに船で来る、
おとんが買うCDの、
歌謡曲聴くぐらいで・・・」


しげの言葉に、流星は絶句。


「凄いな。
そんな同級生がおるなんて。
知ってる歌でええよ。
入れてみて」


「あ！この歌は知ってる！」


流星がしげに、
やり方教えてあげて、
イントロが流れ出した。


小学校高学年の時、
めっちゃ流行った、

サザンのTSUNAMI。


しげと流星で歌い出したけど。


しげの甘い歌声にびっくりして、
流星は歌うの、すぐにやめた。


俺も聞き惚れてもうて。


切なくて、泣きたくなる。


しげと二人で過ごした砂浜が、浮かんで・・・


俺らが注目してるから、

しげは照れまくり。


その笑顔にも、
真剣に歌う横顔にも、

胸がきゅうきゅう言うて、うるさい。


自分が歌う時なっても、

しげが見てる思うと、恥ずかしいて、落ち着けへんし。

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