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転校生。１　2005夏。 ページ1

緑side


２００５年７月１日。


高校２年の夏の暑い暑い日。


俺は生まれて初めて、
転校生というもんになった。


黒板に白いチョークで書かれた、俺の名前。

神山智洋


「じゃあ自己紹介してくれるかな」


担任の、いかにも人の良さそうな、
紫色ジャージの体育教師に促された。

好奇心丸出しで俺を見てるクラスの奴ら。


だっる。


「神山智洋です」


それだけで終わろうとしたら、


「いや、もうちょいなんかあるやろ！」


教壇の真ん前の席から、
そんな野次が飛んできた。

なんや、こいつ。


日焼けした肌、
黒髪の短髪に、黒縁のメガネ、
開襟のカッターシャツ。

いかにも田舎もんの雰囲気。


見渡しても、
他も、まあ言うて、だっさい奴ばっかやけどな。


クラス全員合わせて３１人。

それが学年全部の人数て。

どんだけ過疎地やねん。


「濱ちゃん、なんか聞いてや！」


黒髪メガネが担任を煽ってる。

なんで教師、あだ名で呼んでんねん。


「神山くん、もうちょっと何かないかな。
出身地、血液型、誕生日に、
あと好きな食べ物とか」


なんじゃその、アイドルのプロフィールみたいなん。

濱田っていう、
この担任もおかしいやろ。


「濱ちゃん！ええぞ！」


また、あいつやし。


調子のりの、アホみたいに明るいヤツって、
俺が一番苦手とするタイプ。


「宝塚市出身A型」


「うわあ！都会の人や！
誕生日は？」


なんなん、ほんま、こいつ。

意味もなく、めっちゃ笑顔やし。


「７月１日」


「今日やん！今日！」


なんで人の誕生日でこないテンション上げれるねん。


こんなヤツ、クラスメイトって。

ますますだるい。


「もういいっすか？」


横目で濱田を見たら、
生徒の俺にビビってるらしくて、


「はい、いいよ。
席はしげの隣で」


やってさ。


大体、しげって誰？

思うてたら、


さっきの歯の多いヤツが、
意気揚々と手を挙げた。


「しげは俺！重岡大毅！
ここここ！」


「・・・」


なんも答えずに、
空いてる隣の席にどかっと座る。

とんでもないとこ、来てもうた。

ここでどんだけ過ごさなあかんねやろ。

一刻も早よ帰りたい。

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