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照れ隠しに、めっちゃ唐突に聞いてもうた。
「うん?
まあ嫌いとは違うけど。
あんまし食べた事ないかも」
「一緒に食べへん?
さっき買うて来てん」
「えっ・・・ほんまに?」
「うん。
しげ、誕生日なんやろ?
俺の誕生日、高級ピオーネもろたし」
「盗んだやつやけどな」
「盗んでまでくれたやん」
二人で、ふって吹き出してしもた。
早寝のばあちゃんは、
とっとと自分の寝室に入ってもうたから。
二人で、紅茶を沸かす。
「しげと一緒にキッチンに立ってるって、
なんか不思議な気分」
このまま、こうしてたいなあって、強く思う。
「俺も。
けど、めっちゃ楽しい。
今までの人生で一番」
「大袈裟やなあ」
ずっとこっちに帰って来たいと思ってた。
あんな田舎、うんざりしてた。
名前のよう分からん感情に振り回される、
しげへの想いからも逃げたかった。
こっちに戻って、
予備校通いして、
ダンス部の連中と遊んだり。
俺にとっての日常はやっぱり快適やったけど。
今は・・・
しげが会いに来てくれて、嬉しいて。
離れたくないって思ってる。
「大袈裟ちゃうよ。
俺、神ちゃんとおる時が一番楽しい」
そんなん言われたら、困る。
「ケーキ食べれるからって、
ゲンキンなヤツ」
誤魔化すように言うてもうた。
ケーキと紅茶を、
二人で俺の部屋へ運んで。
ちっちゃな座卓を囲んで、座った。
狭いから、隣同士で、
膝がくっつきそうな距離感。
ホワイトチョコのプレートに、
しげ誕生日おめでとうの文字。
蝋燭は、1と7の数字の、買うてきた。
ライターで火つけようとしたら、
しげが本気で止めてくる。
「この蝋燭は持って帰る」
言うねん。
「なんで?」
「こんなおしゃれなもん、初めて見たから。
宝物にする」
「はあ?」
本気でびっくりしてんけど。
「ええやろ?
これ、俺へのプレゼントやろ?」
「うん、まあ」
「神ちゃん!ありがとうな!」
急に、ぎゅってハグされて、
心臓が壊れるかと思った。
しげは、そんなつもりないんやろうけど、
俺はこんなんされたら、苦しい。
しげは、
純粋で可愛いくて、
けど、不意に男っぽくて、熱くて。
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未来(プロフ) - やばい。好きすぎる。続きも楽しませてもらいます♪ (2021年1月28日 21時) (レス) id: 109c85bf37 (このIDを非表示/違反報告)
未来(プロフ) - かみちゃん、しげにハマるの早すぎて尊いです笑 (2021年1月25日 20時) (レス) id: 109c85bf37 (このIDを非表示/違反報告)
あやの(プロフ) - 前コメントさせて頂いたものです。緑赤と思ってすみません…このお話めっちゃ面白いです!!これからの更新も楽しみです! (2021年1月22日 22時) (レス) id: a46d4b8797 (このIDを非表示/違反報告)
はなこ(プロフ) - いつも更新楽しみにしています!赤緑大好きで、毎回キュンキュンしておりますっ!!作者様の作品の大ファンなので! (2021年1月22日 8時) (レス) id: 4e1b2b15c7 (このIDを非表示/違反報告)
noa(プロフ) - またコメント失礼します!なんか、キャラが本人達に似てるけど、でも違うところもあって…って感じでめちゃくちゃ入りやすくて読みやすいです!恋のABOも何回も読み直させて頂いてるんですけど、これもリピート間違いなしです!なんか上から目線っぽくてすいません… (2021年1月21日 22時) (レス) id: f84d2fbefe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:fool | 作成日時:2021年1月17日 21時