検索窓
今日:50 hit、昨日:37 hit、合計:151,246 hit

ページ29

照れ隠しに、めっちゃ唐突に聞いてもうた。


「うん?
まあ嫌いとは違うけど。
あんまし食べた事ないかも」


「一緒に食べへん?
さっき買うて来てん」


「えっ・・・ほんまに?」


「うん。
しげ、誕生日なんやろ?
俺の誕生日、高級ピオーネもろたし」


「盗んだやつやけどな」


「盗んでまでくれたやん」


二人で、ふって吹き出してしもた。





早寝のばあちゃんは、
とっとと自分の寝室に入ってもうたから。

二人で、紅茶を沸かす。


「しげと一緒にキッチンに立ってるって、
なんか不思議な気分」


このまま、こうしてたいなあって、強く思う。


「俺も。
けど、めっちゃ楽しい。
今までの人生で一番」


「大袈裟やなあ」


ずっとこっちに帰って来たいと思ってた。

あんな田舎、うんざりしてた。


名前のよう分からん感情に振り回される、

しげへの想いからも逃げたかった。


こっちに戻って、


予備校通いして、
ダンス部の連中と遊んだり。

俺にとっての日常はやっぱり快適やったけど。


今は・・・


しげが会いに来てくれて、嬉しいて。

離れたくないって思ってる。


「大袈裟ちゃうよ。
俺、神ちゃんとおる時が一番楽しい」


そんなん言われたら、困る。


「ケーキ食べれるからって、
ゲンキンなヤツ」


誤魔化すように言うてもうた。




ケーキと紅茶を、
二人で俺の部屋へ運んで。


ちっちゃな座卓を囲んで、座った。

狭いから、隣同士で、
膝がくっつきそうな距離感。



ホワイトチョコのプレートに、


しげ誕生日おめでとうの文字。

蝋燭は、1と7の数字の、買うてきた。


ライターで火つけようとしたら、
しげが本気で止めてくる。


「この蝋燭は持って帰る」


言うねん。


「なんで?」


「こんなおしゃれなもん、初めて見たから。
宝物にする」


「はあ?」


本気でびっくりしてんけど。


「ええやろ?
これ、俺へのプレゼントやろ?」


「うん、まあ」


「神ちゃん!ありがとうな!」


急に、ぎゅってハグされて、
心臓が壊れるかと思った。


しげは、そんなつもりないんやろうけど、
俺はこんなんされたら、苦しい。


しげは、
純粋で可愛いくて、
けど、不意に男っぽくて、熱くて。

6→←4



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (207 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
412人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

未来(プロフ) - やばい。好きすぎる。続きも楽しませてもらいます♪ (2021年1月28日 21時) (レス) id: 109c85bf37 (このIDを非表示/違反報告)
未来(プロフ) - かみちゃん、しげにハマるの早すぎて尊いです笑 (2021年1月25日 20時) (レス) id: 109c85bf37 (このIDを非表示/違反報告)
あやの(プロフ) - 前コメントさせて頂いたものです。緑赤と思ってすみません…このお話めっちゃ面白いです!!これからの更新も楽しみです! (2021年1月22日 22時) (レス) id: a46d4b8797 (このIDを非表示/違反報告)
はなこ(プロフ) - いつも更新楽しみにしています!赤緑大好きで、毎回キュンキュンしておりますっ!!作者様の作品の大ファンなので! (2021年1月22日 8時) (レス) id: 4e1b2b15c7 (このIDを非表示/違反報告)
noa(プロフ) - またコメント失礼します!なんか、キャラが本人達に似てるけど、でも違うところもあって…って感じでめちゃくちゃ入りやすくて読みやすいです!恋のABOも何回も読み直させて頂いてるんですけど、これもリピート間違いなしです!なんか上から目線っぽくてすいません… (2021年1月21日 22時) (レス) id: f84d2fbefe (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:fool | 作成日時:2021年1月17日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。