シルエット

６ ページ18

今まで、
俺の周りには、
こんな純粋なヤツ、おらんかった。


何回もやって、ついに金魚２匹ゲット。


「神ちゃん！獲れたで！」


「凄いな！しげ！」


俺も嬉しなってしもて、
つい、はしゃいだ声あげてもうた。


飛んで喜んでたくせに、
しげ、不意に黙り込んだ。


「神ちゃんのために獲りたかってん」


そんなん言うから。

どんな顔しとってええんか、
分からへんなってしもた。


綿菓子食べてても。

射的やってても。


しげが黙り込むんは、
俺が笑ってる時やって、気付いた。


「なんで急に黙んの？
しげ、つまらん？」


聞いたら、ぶんぶん首を振る。


「嬉しいと、なんか、声出てこおへんねん」


「なんでやねん」


「神ちゃんが笑うと嬉しい。
じーんてなる」


自分のはっぴの胸を押さえた、日に焼けた手。

さっきまで繋いでたんや、思たら。

急に意識してもうて。


慌てて、目を逸らした。


「しげ。
俺、女の子と違うで」


自分から言い出したくせに。


「そっんなんっ、分かってるしっ」


しげにはっきり断言されると寂しい。


「そやんな」


「いや、けど、神ちゃん、
俺の知ってる女子の誰より、」


しげが言葉を切る。


苦しくて、苦しくて・・・

どうにかなってまいそう。


そん時、巾着ん中の携帯が鳴り出した。

流星からや。


『あと30分で船着場に着くわ』


もうそんな時間・・・

しげと二人やったら、あっという間やった。


違う。

そんなはずない。


俺は男やし。


しげに、恋なんか、するはずないねん・・・

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