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そんなん、俺には関係ない。

しげの人生なんか、どうでもええわ。


携帯で音楽流して、気を紛らわす。

ここに来てから、初めてかもしれへん。


途中になってた、
アクロバットの練習。

無心になってやってるうちに、
出来るようになってて・・・


ぱちぱちぱちって拍手の音に、
びっくりして、振り返る。

見たら、堤防の上から、しげが手を叩いてるねん。


「神ちゃん!すごいな!
神ちゃんて、ヤンキーやなくてダンサーやったんや!」


しげには、
俺の外見が、
何故かヤンキーと被るらしい。

不思議なヤツ。


「いつから見とってん」


「んー最初から」


泣いてたとこ、見られてへんよな。

かっこ悪過ぎる。


しげに弱みなんて握られたくない。


そやのに。

あいつ、猛スピードで、階段を駆け降りて来た。


「神ちゃん!」


俺らしかおらんのに、大声で呼びながら。


「転ぶで?」


「俺、運動だけは出来るねん」


「まあ、それは知ってるけど」


サッカーの練習、ちょっと見たら、分かった。

並外れて、運動神経ええ事。


勉強も出来るし、

しげは、こんな田舎町におんの、もったいない。


俺ん目の前まで来て、立ち止まって。


「神ちゃん!」


また結構な音量で、呼ぶ。


「やから、何って?」


「神ちゃん、帰ってしまわへんよな?」


「え・・・?」


「遠くに行かへんよな?」


なんでそんな切迫した顔してるねん。


「行きたくても行かれへんわ」


ぶっきらぼうに答えたつもりが、
泣きそうな、か細い声になってもうた。


「神ちゃん、泣くなやあ」


「泣いてなんか」


しげが、俺の頬に手のひらを添えた。


びっくりして、息が止まりそうになる。


いつもなら、アホかって、振り払うのに・・・


日に焼けた手のひらはあったかくて。

目の奥がつんとなる。


「さっきの嘘。
泣いてええからさ。
神ちゃんが悲しかったら、
いつも俺がそばにおるから。
やから、どこにも行かんとって。
帰りたいなんて言うなやあ」


「しげ・・・」


「こんなとこ、
神ちゃんにとっては、
確かにつまらんかもしれへんけど。
俺の生まれた場所やから」

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未来(プロフ) - やばい。好きすぎる。続きも楽しませてもらいます♪ (2021年1月28日 21時) (レス) id: 109c85bf37 (このIDを非表示/違反報告)
未来(プロフ) - かみちゃん、しげにハマるの早すぎて尊いです笑 (2021年1月25日 20時) (レス) id: 109c85bf37 (このIDを非表示/違反報告)
あやの(プロフ) - 前コメントさせて頂いたものです。緑赤と思ってすみません…このお話めっちゃ面白いです!!これからの更新も楽しみです! (2021年1月22日 22時) (レス) id: a46d4b8797 (このIDを非表示/違反報告)
はなこ(プロフ) - いつも更新楽しみにしています!赤緑大好きで、毎回キュンキュンしておりますっ!!作者様の作品の大ファンなので! (2021年1月22日 8時) (レス) id: 4e1b2b15c7 (このIDを非表示/違反報告)
noa(プロフ) - またコメント失礼します!なんか、キャラが本人達に似てるけど、でも違うところもあって…って感じでめちゃくちゃ入りやすくて読みやすいです!恋のABOも何回も読み直させて頂いてるんですけど、これもリピート間違いなしです!なんか上から目線っぽくてすいません… (2021年1月21日 22時) (レス) id: f84d2fbefe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:fool | 作成日時:2021年1月17日 21時

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