神主と暗殺者 ページ22
丁度その頃。
まだ、日は高い。
真昼間、一人の青年が神社の参道を歩いていた。
悲劇のブラックスワンに属する暗殺者、点画竜真。
彼は本堂の前で立ち止まり、その中へ向かって声をかける。
「……灯、いるか」
「あ、竜真」
応えるように、一人の女性が出てくる。
黒の額当に桜色の表着、紫の袴、浅沓。女性神主の常装を纏った彼女は、何もかも察しているように頷く。
照間神社の神主、照間灯。
「……分かってる。じゃあ、始めるね」
「ああ……頼んだ」
点画竜馬と照間灯は、従姉弟関係にある。
点画家と照間家は代々、切っても切れぬ関係にある。
江戸時代から続く由緒正しき暗殺者の家系である点画家は、彼らが殺した者の魂を奉る役目を代々照間神社の神主を勤める照間家に任せているのだ。
というかそもそも本来、照間神社は点画の暗殺者が殺した者の魂を祀るために作られたものである。
儀式を行う灯を遠くから眺めつつ、竜真は少し、心の痛みを感じた。
自分は殺し。
彼女は祀る。
途切れることはない、ある種――――永劫の呪い。
「終わったよ」
「ああ……いつもすまんな」
灯は振り返り、微笑む。
竜真は、ぎこちなく微笑むことしかできなかった。
「ねえ、このあと、予定はあるの?」
「まあな。……友人と出掛ける」
「そうなんだ……珍しいね。楽しんできてね」
「ああ」
またぎこちなく微笑み、竜真は神社を後にする。
その後ろ姿を眺めながら、灯は少し目を伏せた。
彼はきっと気にしているのだろう。
彼が暗殺者を始めた理由というのは、兄の意志を果たすためなのだ。
竜真の兄・点画竜睛は、明治以降長らく沈黙していた暗殺業を再興させようとしていた。しかし、彼は志半ばで謎の病により倒れ、既に故人となっている。
彼の遺言を果たすため、竜真は暗殺者となったのだ。
それはきっと誇らしいことなのだろうが――同時にたまらなく悲しい。
竜真は鳥居をくぐり、腕時計を見る。
最斗が言っていた約束の時間とは、まだそこまで時間はたっていない。
今から向かっても、間に合うだろう。
ゲームセンターと照間神社は徒歩で十分行ける距離にある。
数分歩き、突き当りの角を左に曲がると、ゲームセンターはすぐだ。
自動ドアをくぐり、ゲームセンターの奥へ。
彼らがいる場所は、いつも同じ。
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ゲームセンターの右利き(プロフ) - 更新しました (2018年10月4日 16時) (レス) id: a195e655bb (このIDを非表示/違反報告)
ゲームセンターの右利き(プロフ) - 更新します (2018年10月3日 22時) (レス) id: a195e655bb (このIDを非表示/違反報告)
ゲームセンターの右利き(プロフ) - 最近更新されて無いな(´;ω;`) (2018年10月3日 22時) (レス) id: a195e655bb (このIDを非表示/違反報告)
ゲームセンターの右利き(プロフ) - 更新終わりました! (2018年6月21日 17時) (レス) id: d3506cc5fd (このIDを非表示/違反報告)
ゲームセンターの右利き(プロフ) - 更新します! (2018年6月21日 17時) (レス) id: d3506cc5fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:主催者ゲームセンターの右利き・参加者全員(SHEI☆、ゆずぽん、(新!)ひよウニ、) x他3人 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/7OzNV5SdksSA8JE?s=17
作成日時:2018年1月22日 8時