弱虫姫奮闘記―癒しの姫君【弱虫ペダル】【第９期】

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荒北side




信じらんねぇ･･･あのメガネが追いついて来て、きっちり東堂と３分差で巻島が飛び出して行きやがった。

今は隣りを走る総北が、姫を置いてきてしまったメガネに事情を聞いてる。



小田原のリザルトボードでは、姫が最下位で、落車に巻き込まれたことは間違いなかった。

しかも一緒に巻き込まれたメガネは途中で姫を置いてきたと言ってやがる。


男ばかりのロードレースで落車なんかして、無事に先頭まで追いつけるわけないだろうが。

馬鹿じゃねぇの･･･だから言わんこっちゃねぇ。



クソ･･･っ！

別にあいつが怪我してようがどうなってようが俺には関係ねぇだろうが。




「････チッ」




思わず舌打ちが漏れて、金城が俺を見てきやがる。




「んだよ。何見てやがる」

「いや。姫の事が気になっているのかと思ってな」

「はぁぁっ！？んなわけねぇだろ！何で俺があんなのの心配してやんなきゃいけねぇんだよ！」

「荒北。･･･ひとつ勘違いしているようだから言っておく」




俺が苛立ちを見せると、金城はわけの分からねぇことを言ってきて更にイラつく。

俺が何を勘違いしてるってんだ。




「姫がインターハイメンバーに選出されたのは県予選前だ」

「ああ？金城、テメー。それの何が勘違いだってぇんだヨ」

「だが、姫がそれを知ったのは、姫が１人でお前達のところへ合宿に行った後だ」

「････っ。それ、間違いねぇんだろうな？」

「ああ。間違いない。俺から話したが、取り乱していたからな」




マジかよ･･･。



ってことは、俺はマジで勘違いしてあいつを遠ざけて傷つけたことになるんじゃねぇか･･･。

俺に電話してきた時、あいつはどんな様子だった？

クソ････思い出せねぇ。



唯でさえあいつの性格なら、緊張して、戸惑って、取り乱してただろう。

そのうえ、俺が突き放して、あいつはきっとずっと悩んだはずだ。

そういや、開会式やレースが始まった時に見た姫の体は、以前より更に小さかった気がする。




「阿呆は俺か･･･っ。チッ」




金城は言うことは言ったぞという顔で総北の話に戻っていった。

姫･･･俺は、お前に謝らなきゃいけねぇ。




････無事でいろ。

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