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石垣さんは頬を人差し指で掻きながら、困ったように笑って私を見下ろしている。
「えっと。何で、ありがとう・・・?俺から見たら何もお礼言う要素なんて見当たらへんのやけど・・・」
「え・・・と。石垣さんが御堂筋くんの腕を掴んでくれていたのって、斜め後ろからでした・・・」
「え?ああ。そうやな」
「肩に担いでいた人を投げ捨てる時、斜め後ろにわざわざ振り返って投げることしませんよね・・・」
「うん・・・?」
私が見上げて質問してみると、石垣さんは不思議そうに腕を肩まで上げてエアポイポイをシュミレーションをしている。
それからまた首を傾げて私を見下ろす。
「えっと。普通にぽいってするなら、真横に落とすか、真ん前か、そのまま腕を上げて真後ろに落とすのが1番簡単だと思うのに、石垣さんの方向に、私は落とされたのです・・・」
「あ、ああ・・・。でも、あの御堂筋が・・・?」
「私は・・・そう感じたのです・・・。なので、ありがとうなのです」
後ろでみんなが、それは私の考えすぎだとか、姫クオリティーだなとか聞えるけど、私は確かにあの瞬間に意図的なものを感じたんだ。
御堂筋くんがどんな人かなんて、私には分からない。
今泉くんにひどいことをしたことも分かっているし、石垣さんに対してもひどい態度だったと思う・・・けど。
根っからの悪い人だとは何故か思えなくて、でも、周り全てを拒絶してしまっているように感じた。
形は違うけど、私も総北に来るまで、人を信じることが怖かったから。
石垣さんを見送って先輩たちのところに戻ると、荒北さん以外の箱学も総北も揃って待っていてくれた。
「姫さん。開会式早々に災難だったね」
「うむ。インハイに出てきた事に驚いたがな」
「わぁ。姫ちゃんとインハイで走れるなんて嬉しいなぁ」
新開さん、東堂さん、真波くんがニコニコと話しかけてくれることにホッとする。
でも・・・と、考えて、私は荒北さんの歩いていってしまった方向を見つめてしょんぼりしてしまった。
両隣りから手嶋先輩と青八木先輩が手を繋いでくれて、少し心が落ち着いた。
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瑠璃色の夢(プロフ) - ダリアさん» 嬉しい感想ありがとうございます^^メロメロ・・・なんて素敵なお言葉でしょう(嬉)そしていつも温かいお言葉とても励みになります。今後も頑張ってまいりますのでよろしくお願いいたします(*^^*) (2019年12月24日 19時) (レス) id: d25e595259 (このIDを非表示/違反報告)
ダリア - 姫ちゃんはどうなってしまうのか、次回が気になっちゃいます!荒北さんの誤解がとけて良かったです♪皆さん姫ちゃんにメロメロですね!更新頑張って下さい*^^* (2019年12月24日 12時) (レス) id: 7c4b8b3529 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃色の夢(プロフ) - Mayuさん» 嬉しいコメントありがとうございます^^大好きと言っていただけてとても励みになります♪今後も頑張りますのでよろしくお願いいたします(*^^*) (2019年12月17日 2時) (レス) id: d25e595259 (このIDを非表示/違反報告)
Mayu(プロフ) - 第9期,お疲れ様でした!瑠璃さんの作品,大好きです!これからも頑張って下さい。応援してます! (2019年12月16日 15時) (レス) id: bf6e64c20c (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃色の夢(プロフ) - ふたばさん» ありがとうございます^^ゆっくり構想を練りたいと思います。いつも励みになっております(*^^*) (2019年12月16日 4時) (レス) id: d25e595259 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠璃色の夢 | 作成日時:2019年10月7日 6時