弱虫姫奮闘記―癒しの姫君【弱虫ペダル】【第７期】

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気持ち･･･悪い･･･。

どうしよう･･･これから大切なインターハイの県予選があるというのに。


にぃさまの胸に額を押し付けて、気持ち悪さをやり過ごしていると、大きく温かい手が背中に置かれた。



「姫･･･。何があった･･･？寒崎さん･･･？」

「な、んでも･･･、ありません･･･」

「何でもって雰囲気じゃないっショ」



口を両手で覆ってにぃさまに体を預けていると、にぃさまが口を開く。



「さっきなぁ。姫が絡まれてたぞ。ロードジャージではなかった。多分ありゃあ京都伏見の偵察だな」

「にぃさま･･･っ。････ぇ。てい、さつ････？京都･･･」

「あぁ。さっき受付からここまで歩いてきただけでも石川代表・金沢三崎工業。奈良代表・山理学園。東京代表・西多摩大学付属。箱学もだな･･･まあ多くの偵察が来ていたぞ」



偵察･･･総北は、本当に強い学校なんだ･･･。

そんな、強い先輩たちと私は･･･一緒に走るんだ･･･。



「はっはっは。常勝校の総北はこういう大会ではマークされてデータを取られるからなぁ」

「ま、そりゃそうっショ」

「京伏か･･･。姫に、そうか。姫」

「は、はい･･･」

「オーダーを少し変更する。『翼』は出すな。だが、発動は許可しよう」

「え･･･？い、いいの、ですか･･･？」

「ああ。周りには必死に俺たちから千切れないように着いてくる小さな選手だと思わせるだけでいい」



私も、役に立てる･･･？

お荷物じゃなく、私も先輩たちの役に･･･。

う、嬉しい･･･私、頑張りたい。



「ふ･･･っ。緊張は解けたみたいだな」

「にぃさま･･･。は、はいっ。私、頑張りたいです･･･っ」

「頑張りすぎて『翼』だけは出すなよ？」

「なぁ、巻島。翼って何だ？」

「さぁ。俺にもさっぱりっショ･･･」



田所先輩と巻島先輩は顔を見合わせて首を傾げているけど、金城先輩の言葉に私も笑顔で頷くことが出来た。

田所先輩は昨日、最後まで俺が引いてやると言っていた。

じゃあ私は、田所先輩の背中を、金城先輩と巻島先輩の背中を、精一杯支えよう。

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