弱虫姫奮闘記―癒しの姫君【弱虫ペダル】【第６期】

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怖いこともあったけど、楽しかった合同合宿から帰ってきて１日の休日を挟んでＧＷも明けた。

私の顔の痣もよく見ないと分からないくらいでほっとする。

帰ってきたその日の夜は、静かなお部屋でなんとなく寂しくてなかなか寝付けなかった。


合宿最後のあの日、新開さんからプレゼントとしてもらった紙には、合宿に参加していた箱学のみんなのコミュニケーションアプリのアカウント名が書かれていた。

もちろん荒北さんの名前も入っていて、さっそく皆さんにお礼を送るとすぐにお返事がきた。

このアプリが便利すぎて、荒北さんのメールアドレスが不要になってしまったけれど、何かの緊急用にはいいのかもしれない。


久しぶりの制服に袖を通して玄関で靴を履いてひとつ背伸び。



「んぅーっ。いってきますっ」



マンションの玄関ロビーから出たところで裏門坂をご機嫌で歌いながら上っていく小野田くんが見えて微笑ましく思う。

照れ屋さんなのに歌っている時は声が大きくなっていることに気づいていないみたい。


姫姫言ってたけど何の曲なのかなぁ？

そういえば私が『姫』と呼ばれているのを知った時の小野田くんは嬉しそうだった気がする。



「よう。姫。今日は筋肉痛でもないだろ？何でこんなとこで立ち止まってんだ？」

「あ、田所先輩。おはようございます」

「おう。一緒に行くか？」

「はいっ」



家を出てすぐに部活の仲間に会えるなんて、今日はいい日になりそう。

そう思っていたら、校門前で手嶋先輩と青八木先輩に会った。



「おはようございます。手嶋先輩、青八木先輩」

「お？おはよう。田所さんもおはようございます」

「ん。･･･おはよう」

「おうっ。んじゃあ皆でそこまで行くかぁ」



本当に今日はいい日だ。

手嶋先輩も青八木先輩も穏やかに微笑んであいさつしてくれた。

昨日１人でお家で過ごして、私、寂しかったんだなぁ。

もう自転車部のみんなと一緒にいることが当たり前になっちゃってる。


あんなに人と接するのが怖かったのに、みんなといると安心しちゃうんだ。

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