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横山さんは突然、今気づいたかのように私に視線を向けた後、わざとらしく話題を変える。
「あ、そういえば、そこの女の子。君って箱根学園の関係者の妹とか?それとも留学生?でも留学生にしては幼すぎるし、ハーフ?日本語うまいよね」
「え・・・?わ、私ですか・・・?えっと・・・」
チラリと金城先輩を見上げると、先輩は私の視線を受けて一瞬目が泳いだけれど、すぐ後には真剣な顔になった。
誤魔化すか、真実を話すか、それとも・・・と、一瞬のうちに色々思考を巡らせたのだと思う。
「彼女は箱根学園とは無関係で、俺たち総北高校の関係者です」
「へぇ。でも情報によると箱学と総北の合同合宿なんだよね?どうして関係者ってだけでここにいるのかな?高校生でもマネージャーでもないのに」
ああ、私の見た目がこんなだから、この人は私が高校生だとも思わなかったんだ。
ということは、あの写真は恋愛とかそんなのではなく、荒北さんの過去が不良だったということから、元不良少年が今度は子供を泣かせて何かしでかした・・・という、わけの分からない邪推からだったんだね。
もしそうだとしたら、それこそありえない。
荒北さんは初めて会った時、横山さんと同じように私のことを唯の小さな子供と勘違いしていた。
そんな小さな子供の涙を拭いてくれて、だっこしてくれて、更には親を探してくれようとしてくれるくらい優しい人だ。
あれ・・・?
何だか考えれば考えるほどムカムカしてきたぞ。
ぷむぅっと勝手に頬が膨らむのが分かるけど、誰も今の私の頬が膨らむのを止められはしない。
私は福富さんと金城先輩の間から顔を覗かせて、片手は金城先輩の服の裾を命綱にしながらも、ピシッと横山さんを指差した。
「あああ・・・あなたっ。し、失礼じゃないですか!荒北さんは・・・誰かを虐めたり、酷いこと出来る人じゃないんですっ。か、勝手な邪推で、こんな優しい人を傷つけないで、い、いただきたいっ、ですっ!」
涙目だったけど、睨みつけてやったぞっ!
どうだっ。参ったか!
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瑠璃色の夢(プロフ) - ダリアさん» いつも嬉しいコメントをありがとうございます^^素敵なお言葉をたくさん頂けてモチベーションを保てています。本当に感謝感激です。今後も頑張っていきますのでよろしくお願いいたします(*^^*) (2019年8月18日 1時) (レス) id: 86b4dd6b0b (このIDを非表示/違反報告)
ダリア - これを見ると疲れが癒されます。姫ちゃん可愛すぎです! (2019年8月18日 1時) (レス) id: 7c4b8b3529 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃色の夢(プロフ) - 美月さん» 嬉しい感想ありがとうございます♪応援と温かいお言葉、とても励みになります^^今後も頑張っていきますのでよろしくお願いいたします(*^^*) (2019年5月3日 10時) (レス) id: 86b4dd6b0b (このIDを非表示/違反報告)
美月(プロフ) - はじめまして!第1期から見させてもらいました!もの凄く面白いです!過保護な自転車部員は見てて凄く楽しいです!この作品大大好きです!応援してます!! (2019年5月3日 9時) (レス) id: 001893ea4c (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃色の夢(プロフ) - かあさん» 嬉しいコメントありがとうございます^^確かにベタですよね。ですがなかなか私好みの方向に行ってくれない終わり方の小説が多くて執筆し始めてしまいました(汗)自己満足な小説になってしまっていますが今後とも頑張りますのでお付き合いくださると嬉しいです^^ (2019年4月21日 7時) (レス) id: 86b4dd6b0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠璃色の夢 | 作成日時:2019年1月25日 0時