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金城side
就寝の準備をしていた時、布団の距離を量りかねていた。
巻島には姫が寂しがっていると言われたが、あんなことがあった後だから、姫も俺たち男が近くにいては不安で眠れないだろう。
男の俺たちとは全く別の存在・・・。
か弱く、いとも簡単に組み敷ける華奢で儚い存在・・・それが姫だ。
そう思っていたのが間違いだと気づいたのは消灯後、少しした頃だった。
突然聞こえた小さな悲鳴と布擦れの音に、俺はすぐに声を掛けられずに様子を窺っていたが、押し殺したように息を吐いた姫の様子に黙っていられなくなる。
声を掛けてみたが反応はなく、それが余計に気がかりになってしまう。
驚かせないようにゆっくりした動きを意識しながら姫に近づくと、姫は体を起こしていて小さく蹲っているように見えた。
優しい声を意識しつつ姫の傍らに腰を下ろすと、姫は俺の声に反応するように泣き出してしまう。
「っ。姫・・・。大丈夫だ。もうお前を傷つけるやつはここにはいない・・・」
そう言いながら、小さな震える体を抱き寄せると、いとも簡単に小さな軽い体は俺の足の間に収まってしまう。
軽い・・・、知ってはいたけれど、改めて姫の華奢な体に壊してしまいそうだと思った。
小さく、柔らかな、俺たち男とは全く別の生き物。
だけどその温かな体温に胸の鼓動が高鳴ってしまう。
必死に俺の存在を確かめるように縋りついてくる姫に、無条件に信用されているのだということを理解した思考が愛おしいと感じてしまった。
だが、巻島もしっかり起きていたらしい。
突然声を掛けられて驚いてしまったが、助かったとも思った。
このままもし、巻島が眠っていたとしたら、俺は姫から離れることも難しくなっていたかもしれない。
姫が不安にならないように布団を敷き直した後、豆電球をつけて3人で手を繋いだ。
誰かと手を繋いで眠るなんてどれくらいぶりだろうか?
もしかしたら親とも記憶のある限りではしたことがないかもしれない。
姫の小さな手から安心感を貰っているのは俺のほうかもしれないな。
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瑠璃色の夢(プロフ) - ダリアさん» いつも感想ありがとうございます^^こんなに遅い時間にまで読み進めてくださっていたのだと感動してしまいました★毎日1話更新しておりますのでご無理なさらず読んでくださると嬉しいです♪今後ともよろしくお願いいたします(*^^*)因みにこの時間が執筆構想時間です★ (2019年8月14日 1時) (レス) id: 86b4dd6b0b (このIDを非表示/違反報告)
ダリア - 今回のお話では涙目になってしまうシーンがあったり、ほわほわするお話もあってとっても楽しめました♪次も頑張って下さいね! (2019年8月14日 1時) (レス) id: 7c4b8b3529 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃色の夢(プロフ) - az☆azさん» 嬉しい感想ありがとうございます^^弱虫姫箱学偏も楽しそうですね♪この小説が落ち着いたら書いてみたいと思います!今後も頑張っていきますのでよろしくお願いいたします^^ (2019年7月14日 23時) (レス) id: 86b4dd6b0b (このIDを非表示/違反報告)
az☆az(プロフ) - とっても面白いです!箱学として通ってる姫も読んでみたいです!お時間の方があればよろしくお願いしますm(_ _)m更新頑張ってください! (2019年7月14日 23時) (レス) id: 22cdeb44e5 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃色の夢(プロフ) - 猫柳さん» 嬉しいコメントありがとうございます^^とても励みになります♪毎日更新頑張りますので今後ともよろしくお願いいたします^^ (2018年12月29日 1時) (レス) id: 86b4dd6b0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠璃色の夢 | 作成日時:2018年12月14日 0時