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荒北さんに抱きしめられても涙は全然止まってくれなくて、ただひたすら震える体を抑えるのに必死だ。
初めてオロオロした様子の荒北さんだなと感じても笑う余裕もなかった。
「悪い・・・っ。悪かった・・・っ。マジでごめんっ!ごめんな?やり過ぎた・・・っ!」
「ひっく・・・。ぅ・・・。ふぇ・・・っ」
何度も謝る荒北さんの声を聞きながら、荒北さんは心配してくれていたのだと後から考えればちゃんと分かることだったのに、この時の私は何故怒らせてしまったのか、どうして怖いことをされたのか理解出来なかった。
やっと泣きやめたのは10分以上も経った後で、それでも泣きすぎたことでひっくひっくと肩が揺れるのを止められない。
それでも顔を上げると、荒北さんはやっと私が落ち着いたのだと分かったのか、大きな息を吐き出して、私を抱きしめたままガラスを背に座り込んでしまう。
足の間に座り込んで抱きしめられたままだ。
「はぁー・・・。ほんとに悪かった・・・。あー・・・。俺、マジで最低・・・」
「ご、めん、なさい・・・っ」
「・・・なぁ。姫」
荒北さんが私を呼ぶ時、いつも『猫姫』とか『箱入り猫』とかだったのに、姫と呼ばれたのは初めてのことだと思いながら視線をゆるゆると上げて荒北さんを見上げる。
すると、荒北さんは私の肩におでこを乗せてきた。
「・・・俺は、素直じゃねぇけどよ。そういうのひっくるめて理解してくれる奴もいて、だから俺はこのままでいいと思ってた。分からねぇ奴とは関わる必要もねぇって。けど、それじゃ駄目っぽいわ」
「あら、きたさん・・・?」
「姫には、誤解されたくねぇ・・・。だから、よ・・・。俺は、その、なんだ。・・・優しくするし。怒鳴るのも姫には、やめる。怖いとか、思われたくねぇし・・・。あと、遠まわしに言ってもお前には通じねぇし、伝わらねぇから、心配なら心配してるって言う」
「は、はい・・・」
荒北さんはぽつりぽつりと話を続けた。
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瑠璃色の夢(プロフ) - ダリアさん» いつも感想ありがとうございます^^こんなに遅い時間にまで読み進めてくださっていたのだと感動してしまいました★毎日1話更新しておりますのでご無理なさらず読んでくださると嬉しいです♪今後ともよろしくお願いいたします(*^^*)因みにこの時間が執筆構想時間です★ (2019年8月14日 1時) (レス) id: 86b4dd6b0b (このIDを非表示/違反報告)
ダリア - 今回のお話では涙目になってしまうシーンがあったり、ほわほわするお話もあってとっても楽しめました♪次も頑張って下さいね! (2019年8月14日 1時) (レス) id: 7c4b8b3529 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃色の夢(プロフ) - az☆azさん» 嬉しい感想ありがとうございます^^弱虫姫箱学偏も楽しそうですね♪この小説が落ち着いたら書いてみたいと思います!今後も頑張っていきますのでよろしくお願いいたします^^ (2019年7月14日 23時) (レス) id: 86b4dd6b0b (このIDを非表示/違反報告)
az☆az(プロフ) - とっても面白いです!箱学として通ってる姫も読んでみたいです!お時間の方があればよろしくお願いしますm(_ _)m更新頑張ってください! (2019年7月14日 23時) (レス) id: 22cdeb44e5 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃色の夢(プロフ) - 猫柳さん» 嬉しいコメントありがとうございます^^とても励みになります♪毎日更新頑張りますので今後ともよろしくお願いいたします^^ (2018年12月29日 1時) (レス) id: 86b4dd6b0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠璃色の夢 | 作成日時:2018年12月14日 0時