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「もしも・・・が、あるとしたら、私もそうです。もしも、うさ吉に会いにいかなければ・・・。もしも、誰かと一緒だったら・・・。後悔する場面でしか、『もしも』は出てこないですから」
「それでも・・・。後悔せずには、いられない」
繋がれた手を握り返して小さく首を振って否定すると、青八木先輩は涙を流して目を閉じた。
気持ちも落ち着いた頃、保険医の先生が戻ってきて旅館まで車で送ると言ってくれたけど、大丈夫ですと答えた。
足にダメージは無いし、両腕に包帯を巻いてあるといっても範囲が広いだけで擦り傷だし、顔や頭は自転車に乗るのに関係ないと思ったから。
それに先輩たちもまだ事情を知らないのだから、私がいなくなって心配していると思う。
そう言ったら保険医の先生は困ったように眉を下げたけれど、青八木先輩が無茶はさせないと言ってくれて、なんとか納得してもらった。
青八木先輩には大丈夫だと言ったのだけど、それでもお姫様だっこをされてしまって保健室を後にする。
「この姿、私・・・また先輩たちに心配かけちゃいますね・・・。あ・・・せめて、腕の包帯だけでも・・・」
「・・・駄目。擦り傷といっても、血が流れるくらい傷は深かった」
「うぅ・・・。でも・・・」
「・・・・・・・・絶対駄目」
こうまで言われたら仕方ないけれど・・・食堂に顔出すの、怖いなぁ・・・。
そう思いながら辿り着いた箱学の食堂はとてつもなく大きかった。
総北も、箱学も揃った食堂では、みんなが心配をしてくれていたようで、全員立ったまま話し合いをしていたみたいでザワザワしていた。
青八木先輩にだっこされて入ってきた私の姿を見て、みんなが顔色を変えて駆け寄ってくる。
私はさっきあった出来事を思い出して顔が強張ったのが分かった。
ぐるりと食堂を見渡してみても、新開さんの姿はどこにもなかったから、もしかしたらまだ戻ってきていないのかもしれない。
青八木先輩の血で汚れたジャージが目に入って、私はきゅっと先輩の胸元のジャージを握った。
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瑠璃色の夢(プロフ) - ダリアさん» いつも感想ありがとうございます^^こんなに遅い時間にまで読み進めてくださっていたのだと感動してしまいました★毎日1話更新しておりますのでご無理なさらず読んでくださると嬉しいです♪今後ともよろしくお願いいたします(*^^*)因みにこの時間が執筆構想時間です★ (2019年8月14日 1時) (レス) id: 86b4dd6b0b (このIDを非表示/違反報告)
ダリア - 今回のお話では涙目になってしまうシーンがあったり、ほわほわするお話もあってとっても楽しめました♪次も頑張って下さいね! (2019年8月14日 1時) (レス) id: 7c4b8b3529 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃色の夢(プロフ) - az☆azさん» 嬉しい感想ありがとうございます^^弱虫姫箱学偏も楽しそうですね♪この小説が落ち着いたら書いてみたいと思います!今後も頑張っていきますのでよろしくお願いいたします^^ (2019年7月14日 23時) (レス) id: 86b4dd6b0b (このIDを非表示/違反報告)
az☆az(プロフ) - とっても面白いです!箱学として通ってる姫も読んでみたいです!お時間の方があればよろしくお願いしますm(_ _)m更新頑張ってください! (2019年7月14日 23時) (レス) id: 22cdeb44e5 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃色の夢(プロフ) - 猫柳さん» 嬉しいコメントありがとうございます^^とても励みになります♪毎日更新頑張りますので今後ともよろしくお願いいたします^^ (2018年12月29日 1時) (レス) id: 86b4dd6b0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠璃色の夢 | 作成日時:2018年12月14日 0時