弱虫姫奮闘記―癒しの姫君【弱虫ペダル】【第４期】

３２ ページ32

Ａチームと合流すると、金城先輩にだっこされている私を見て福富さんが一時停止した。

新開さんと東堂さんが近くまで来て私の顔を覗き込む形で心配してくれる。



「姫よ。どうしたのだ！？Ｂチームのロードは、やはり辛かったのだなっ！？」

「姫さん。歩けないのか･･･？泉田。何があったんだ？」

「あ、いえっ。その、大丈夫です･･･っ。ちょっぴり、張り切り過ぎてしまいました･･･」



新開さんと東堂さんは少し怖いと思う。

グイグイくるタイプは昔から苦手かもしれない･･･けど、心配してくれてるし、いい人たちだと思う。



「姫ちゃん凄かったですよーっ。俺たちのロードペースに最後まで着いてきたんですよぉ。けど少し無理しちゃったっぽいですけどね。でも凄い凄いっ。頑張ったね！」



真波くんは私の頭をグリグリと撫でて満面の笑顔だ。

金城先輩を見上げると、先輩はふっと微笑んで私をベンチに運んで降ろしてくれた。



「金城先輩･･･。運んでくれてありがとうございました･･･。それから、ごめんなさい･･･でした」

「いや、いい。よく抑えたな」



ふわりと撫でてくれた手が大きくて、優しくて、じわりと心が温まる。

へとへとだけど、嬉しい･･･。


まだ練習は続くみたいだけど、私は帰るまでゆっくりしていろ、これはオーダーだと言われてしまえば逆らえない。

少し足が回復したから、帰りの自転車に向けて少しお散歩しておこう。

帰ったらお洗濯が待ってるしね。


１人で外をウロウロしながら探索していると、トレーニング施設と校舎の間に小さな小屋があることに気づいた。

なんだろう？小学校の時にああいう小屋見たことあるけど、あの時はニワトリ小屋だったなぁ。

高校で動物小屋があるのって珍しいなと思いながら近づくと･･･。



「ほわぁ･･･っ！」



私は思わず声を上げてしまう。

小さな小屋を覗き込むと、薄いミルクティー色の子ウサギがお鼻をぴくぴくしながら二本足で立ちあがってこちらを見ていた。

３３→←３１

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す