３０ ページ30
田所先輩に引かれて平坦を走りきって水分補給すると、巻島先輩が微妙な表情で私の横に並んだ。
「･･･俺のクライムはちょいと癖があるっショ。姫は初めて見ると思う。あまり、その、何だ。顔に出さないでくれると助かるショ･･･」
「？顔に･･･？ですか･･･？」
巻島先輩は何だか不安そうに私を見てから前に出た。
すると、泉田さんも後ろを振り向いて真波くんを見る。
「真波っ！出ろ！」
「はーい。泉田さん。じゃあ、ちょっとだけ楽しんできますねぇ」
真波くんはそう言うと、後ろから少しペースを上げて私の横をにっこり笑って手を振りながら通り過ぎて巻島先輩の少し前を走り始めた。
登りに入ると真波くんは平坦の時と同じようにぐんぐん坂道を登っていく。
真波くん、凄い･･･。
すると、巻島先輩が肩越しに視線を送って少し落ち着いた声で言う。
「･･･姫、千切れるなっショ。俺は、俺のやり方でしか登れない。だから、まあ、何だ。お前がどう思うのか、分からない、だが･･･仕方ない。俺は、クライマーっショ！」
「･･･？は、はいっ。私、着いていきますからっ」
そう言って巻島先輩はサドルから腰を浮かした。
巻島先輩の体がブレる。
え･･･？と、思った瞬間には巻島先輩は左右に大きく体を振り出して、急に引かれるスピードが上がった。
玉虫色の長い髪がふわりふわりと揺れて、なんだか綺麗。
巻島先輩のダンシング･･･って、本当に名前の通り、踊ってるみたい･･･。
素敵･･･素敵過ぎる･･･っ！
私は一心に巻島先輩の背中を見つめてペダルを回す。
小野田くんが先輩のクライムはかっこいいって言ってたこと、分かるよ。
小野田くん･･･私も、そう思ったよ。
ふわりと浮き足立ったような気持ちを何とか押さえ込んで、先輩の背中を真っ直ぐに見つめると速度が上がっていく。
出しちゃいけない･･･でも、気持ちが昂ぶる。
ふいに振り向いた巻島先輩の顔が驚きで目を見開いていく･･･。
私、翼、出てないよね･･･？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 124人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「愛され」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
瑠璃色の夢(プロフ) - ダリアさん» いつも感想ありがとうございます＾＾箱学偏は何故か荒北さんと新開さんがグイグイ前に出てきていますね（笑）今後も頑張りますのでよろしくお願いいたします(*^^*) (2019年8月13日 21時) (
レス) id: 86b4dd6b0b (このIDを非表示/違反報告)
ダリア - 私、箱学の中でも特に泉田さんと荒北さんが好きなのでお二人との絡みがあって嬉しかったです！更新頑張って下さい (2019年8月13日 21時) (レス) id: 7c4b8b3529 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃色の夢(プロフ) - ミズキさん» コメントありがとうございます。間違えていましたね・・・すみません＞＜現在多忙のため修正に少しお時間がかかるかと思いますが少しずつ直していきます。ありがとうございました。 (2019年4月5日 6時) (レス) id: 86b4dd6b0b (このIDを非表示/違反報告)
ミズキ(プロフ) - 東堂さんの名前甚八じゃなくて尽八ですよ！ (2019年4月4日 23時) (レス) id: eee77d9b22 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃色の夢(プロフ) - ぺやみさん» 嬉しいコメントありがとうございます＾＾御堂筋くんとの絡みも視野に入れているのですが、負の絡みになりそうです★大丈夫でしょうか？（汗）今後も頑張りますのでよろしくお願いいたします＾＾ (2018年12月1日 13時) (レス) id: 86b4dd6b0b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：瑠璃色の夢 | 作成日時：2018年11月26日 20時
