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金城先輩は今から、引かないルーラーの私の力を試すという。
「試す・・・ですか?」
「そうだ。今から俺は姫を引いて走る。姫は手嶋たちに引かれた時、何かが起きたことはもう気づいているな?」
「・・・ぁ。手嶋先輩にも青八木先輩にしたのと、同じことをもう一度と・・・」
「ああ。やってみろ。では、いくぞ?」
「は、はいっ」
金城先輩が走り出して、それに続いてタイヤを近づけていって、ふわりと急に引っ張られる感覚になる。
それを確認した金城先輩は、少しずつ速度を上げていく。
私、先輩たちの後ろで走るのがすごく好きみたい。
先輩たちの背中を見詰めてペダルを回すと、大丈夫だよって言ってもらえているようですごく安心するから。
金城先輩と走るのは初めてだけど、すごく安心できる。
楽しい・・・っ!
ふわりと風が舞い上がる。
あぁ。またこの感覚。
髪が風に遊ばれて、温かい風が頬を撫でて、まるで背中に翼が生えて今にも羽ばたいていけそうな素敵な気分。
先輩の背中を追いかけてこのまま走っていけたら、どこまでも遠くへ行けそう。
「っ!!この感覚・・・。手嶋が言っていたのはこれか・・・」
湖を半周したところで、スプリント練習をしていた田所先輩たちを追い抜いて、田所先輩は驚いた顔をしていたけど、青八木先輩は口元に微笑を浮かべて頷いてくれた。
湖を一周したところで金城先輩はスピードを緩めて私の隣りに並ぶと、ヘルメットの上にポンと手を置かれた。
「姫。やはりお前はルーラーだったようだ。俺は姫の先を走り、周りの人間から見たら引いているように見える。だが姫は、風を呼び、俺の背中を押していたんだ。その証拠に、俺はまったく疲れを感じていないのだからな」
「それが・・・私の力・・・?」
「ああ、そうだ。チームをゴールまで導く力だ。これは姫にしか出来ない」
「・・・っ。わ、私。先輩たちのお役に、立てるんですね・・・」
金城先輩は目を細めて頷いてくれた。
チームをゴールへ・・・。
私にしか出来ないことがあるということが嬉しくて堪らない・・・。
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にわなずな(プロフ) - 5ページ東堂が藤堂になってますね (2019年12月28日 23時) (レス) id: d640b39bc8 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃色の夢(プロフ) - ダリアさん» いつも嬉しいお言葉をありがとうございます^^励みになります。今後も頑張りますのでよろしくお願いいたします(*^^*) (2019年8月13日 21時) (レス) id: 86b4dd6b0b (このIDを非表示/違反報告)
ダリア - 姫ちゃんの頑張る姿に感動をおぼえました!ストーリーも面白かったです♪ (2019年8月13日 19時) (レス) id: 7c4b8b3529 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃色の夢(プロフ) - Tukineさん» 嬉しい感想をありがとうございます^^とても励みになります。今後も頑張っていきますのでよろしくお願いいたします(*^^*) (2019年8月12日 14時) (レス) id: 86b4dd6b0b (このIDを非表示/違反報告)
Tukine(プロフ) - 姫が可愛いです。妹にしたい。皆の構いたくなる気持ちがわかります。 (2019年8月12日 0時) (レス) id: cec2b3b425 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠璃色の夢 | 作成日時:2018年11月5日 0時