弱虫姫奮闘記―癒しの姫君【弱虫ペダル】【第３期】

２８ ページ28

「菓子作り出来るのか！凄ぇな。俺はパンは作れるが、それ以外はさっぱりだ！はははは」


田所先輩は豪快に笑いながらも凄い凄いと褒めてくれて、少し照れくさい。


「補給食用に作ってみたんです。あの、良かったらでいいんですけど、後で味見してくれますか･･･？」

「おおっ。そいつはありがてぇ。楽しみにしてるぞ」

「はいっ」


作ったスティックケーキは、自転車に乗っていても、すぐに食べれるように、ラップではなく、口でもちぎれるようにクッキングシートで包んで、キャンディーのように両端をねじってきた。

食べてもらえると嬉しいなぁ。


部室に着いて、おろしてもらってお礼を言った後、ロードジャージに着替えてから、補給食とドリンクの用意する場所に向かった。

ドリンクの横にいつも人数分を用意するパワーバーのところに２本ずつ足して置いてから戻ろうと、部室に足を向けようとした時。


「お。クリスさんだ」

「あ、ほんとだー！」

「え･･･？は、はい」


横から聞こえた声に顔を向けると、前に食堂前で声をかけてきた先輩が２人いた。

手嶋先輩のお友達にしては、少し雰囲気が重かったことを思い出して、どうしようかと思う。

先輩２人は私の前まで歩いてきて、思わず後ろに下がろうと思ったけど、トンと後ろの補給台に腰が当たって下がれないことを悟った。


「あ、あの･･･。何かご用、でしょうか･･･？」

「うん？いや、たまたまここ通ったら、クリスさんいたから、ラッキーって感じ？」

「うんうん。何々？これって自転車競技部のスポドリ？マネージャー大変だなぁ」

「今日くらいサボって遊びに行かない？な？そうしよう」


先輩たちは、私の後ろの台の上を確認した後、私の格好を上から下まで見下ろして笑顔になる。

う･･･なんだか嫌な視線だ。


「うわー。それユニフォーム？クリスさんめちゃ細ー！可愛い！」

「おおっ。なんかこの危うい感じいいよなぁ。いろいろこうさぁ」


こうさぁって言われても･･･。

２９→←２７

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す