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嫌な予感がして周りに視線を走らせていると、姫の食べかけのチョコバナナを勧められて、驚いて振り返り姫を見下ろすと、姫は考える素振りを見せた後、慌てて謝り手を引っ込めようとした。
俺は咄嗟に繋いでいない方の手で姫のチョコバナナを持っている手を掴むと勢いのまま齧りついたがほんと、マジで何してるっショ・・・っ!!
もう俺の晒し出す空気が甘すぎてどうにかなりそうだ。
誤魔化すように目を逸らして甘いがたまにはいいとか・・・。
もうペースを乱されまくりだと頭を抱えたくなっていると、聞き慣れた叫び声が聞こえてきた。
やっぱり俺の悪い予感は当たる。
あー・・・面倒なことになったっショ・・・。
姫が驚いたように怯えた様子で俺の腕に縋りついてハッと意識を戻して、東堂に姫を見られると面倒なことになると思い、繋いでいた姫の手を引いて俺の背中に隠した。
姫が俺を呼ぶ声に反応して肩越しに黙ってろと人差し指を口に当てると姫は頷いて口を閉じた。
東堂は騒がしいし、ピンクのオーラとかわけの分からない事を言って俺に詰め寄ってきた。
何なんだピンクのオーラって、本当に面倒くさいやつっショ。
「巻ちゃん。さっきのは一体何なのだねっ!?俺と巻ちゃんの仲に隠し事だなんて水臭いではないか」
「だから、意味が分からないっショ!相変わらずだな東堂」
そんな会話をしていると、姫がゆっくりと俺の手を離した。
どうしたのかと振り向こうと思ったが、東堂に気づかれるかもしれないと何とか思い留まった。
すると東堂が俺の顔をじとりと見つめてから俺が背後を気にしていることに気づいたらしい。
しまったっショ・・・。
「・・・女がいるな?しかもだ。今ここに!巻ちゃんの後ろだ!俺の巻ちゃんを誑かす女はどこの馬の骨だ!さぁっ。顔を見せるがいい!!」
「っ!?な、何のことっショ?って、オイっ!?」
東堂は俺の言葉など聞く耳を持たずに俺の横からフェイントで背後を覗き込んだ。
やべぇ。姫のことバレちまったっショ・・・。
「んー?気のせいだったか?誰もいないようだな。うむっ」
「・・・は?え・・・?」
バッと後ろを振り向くと、いるはずの姫が消えていた。
もしかして、さっき手を離した時にはもう離れてしまってたのか!?
姫・・・どこ行ったっショ・・・っ!
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にわなずな(プロフ) - 5ページ東堂が藤堂になってますね (2019年12月28日 23時) (レス) id: d640b39bc8 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃色の夢(プロフ) - ダリアさん» いつも嬉しいお言葉をありがとうございます^^励みになります。今後も頑張りますのでよろしくお願いいたします(*^^*) (2019年8月13日 21時) (レス) id: 86b4dd6b0b (このIDを非表示/違反報告)
ダリア - 姫ちゃんの頑張る姿に感動をおぼえました!ストーリーも面白かったです♪ (2019年8月13日 19時) (レス) id: 7c4b8b3529 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃色の夢(プロフ) - Tukineさん» 嬉しい感想をありがとうございます^^とても励みになります。今後も頑張っていきますのでよろしくお願いいたします(*^^*) (2019年8月12日 14時) (レス) id: 86b4dd6b0b (このIDを非表示/違反報告)
Tukine(プロフ) - 姫が可愛いです。妹にしたい。皆の構いたくなる気持ちがわかります。 (2019年8月12日 0時) (レス) id: cec2b3b425 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠璃色の夢 | 作成日時:2018年11月5日 0時