１２ ページ12
遠くから聞こえた叫び声に私は驚き過ぎて飛び上がってしまって、繋がれた手をそのままに巻島先輩の腕にしがみついてしまった。
何が起こってるのっ！？
頭の中が迷子になるくらいパニックになっていると、巻島先輩が私の抱きついていた腕を後ろに回して、自然と私も巻島先輩の背中側に移動する形になった。
「せ、先輩･･･？」
「しっ。黙って隠れてるっショ」
肩越しに振り向いた巻島先輩は、人差し指を唇に当ててシー、と言う。
黙ってた方がいいんだろうとコクコクと頷いて繋がれた手の腕に抱きついて混乱している頭を落ち着けた。
「巻ちゃん巻ちゃん巻ちゃああああんっ！さっき巻ちゃんからピンクなオーラが見えたのだが、一体どういうことなのだ！？」
「･･･はぁ。オーラが見えるとか、もうお前、人間の域を超えてるっショ･･･」
巻島先輩の背中を見つめながら、誰か知り合いがいたのだろうかと考える。
だけど何故か巻島先輩は迷惑そうな声をしていると思う･･･。
誰なのか気になったけど、背中に私を隠したということは、私をその人に見られるのは嫌ってことだよね･･･？
あ、私がこんな見た目だから、本当は先輩も恥ずかしいのかもしれない。そんなことを考えて視線を下げると、巻島先輩と手を繋いでいる手が視界に入った。
もしかして、もしかしなくても恥ずかしいと思われる私と手を繋ぐのも苦痛だったんじゃないかなと思って、気持ちが急に落ち込んでいく。
ゆっくりと力を入れていた繋いでいる手を解いて一歩ずつ下がる。
手を離したことに巻島先輩は気づいた様子で少しだけこちらに頭が動いたけど、視線は前を向いたままだ。
私、恥ずかしい。
周りの視線も何も考えずに、巻島先輩に甘えてしまってた。
自分が周りから受け入れてもらえない容姿だったことを忘れていたんだ。
高校に入ってから、先輩たちも、１年生も自転車部のみんながとても優しかったから･･･。
ドクン･･･と心臓が大きく脈打つのが分かった瞬間、思わず巻島先輩に背中を向けて走り出していた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 129人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「愛され」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
にわなずな(プロフ) - 5ページ東堂が藤堂になってますね (2019年12月28日 23時) (
レス) id: d640b39bc8 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃色の夢(プロフ) - ダリアさん» いつも嬉しいお言葉をありがとうございます＾＾励みになります。今後も頑張りますのでよろしくお願いいたします(*^^*) (2019年8月13日 21時) (レス) id: 86b4dd6b0b (このIDを非表示/違反報告)
ダリア - 姫ちゃんの頑張る姿に感動をおぼえました！ストーリーも面白かったです♪ (2019年8月13日 19時) (レス) id: 7c4b8b3529 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃色の夢(プロフ) - Tukineさん» 嬉しい感想をありがとうございます＾＾とても励みになります。今後も頑張っていきますのでよろしくお願いいたします(*^^*) (2019年8月12日 14時) (レス) id: 86b4dd6b0b (このIDを非表示/違反報告)
Tukine(プロフ) - 姫が可愛いです。妹にしたい。皆の構いたくなる気持ちがわかります。 (2019年8月12日 0時) (レス) id: cec2b3b425 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：瑠璃色の夢 | 作成日時：2018年11月5日 0時
