３８ ページ38
馬から降りると後ろから、ぱたぱたと軽く幼い足音と共に、鳥の囀りのような可愛らしい声が聞こえてきます。
「おきゃり、なしゃいっ」
「るう。ただいま。そんなに走ってはまた転んで怪我をしてしまいますよ」
息を弾ませて私の足に抱き着いてきたるうは本当にそれはそれは可愛らしかった。
そんなに息を切らせてどこから走ってきたのかと思いきや、屋敷の玄関にリクが立っていることに気づいて、あの少しの距離でこんなに疲れてしまうるうに、更に庇護欲が掻き立てられる。
馬の首を軽く叩くと、馬はそのまま自分で馬小屋へ歩き出したのを見届けると、るうをひょいと抱き上げてみました。
大分慣れてくれたようで顔を赤くしつつも、ふにゃりと可愛らしい笑顔になるるうに、私も口元が緩んでいくのを感じながら歩き出しました。
「るう。みんな喜んでいましたよ。それに、とても驚いていました。るうは料理の天才ですね」
「っ！わぁ。よかった、でしゅっ。えへへ」
嬉しそうにコクコクと首を縦に動かするうを心配しながらも、出かける前と変わらないるうの雰囲気に、本当に話は出来たのかと不安になりました。
リクに視線を向けると、リクは苦笑いしながら頷きます。
ああ、やはりるうは快諾してしまったようですね。
予想はしていましたが、るうはきっとそこまで深く考えていない気がします。
ただの儀式や式典だと思っているのでしょうが、きっとるうに、否、るうの傍にいたいと願う私たちにとっても、よくない輩は掃いて捨てるほど出てくるのでしょう。
それならば、その方向でるうを護るだけの話、ですがリク……心の中で言わせて頂きましょう。
どうして食い下がらなかったのですかっ。
この役立たずっ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 109人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「愛され」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ダリア - 少し気になったんですけど、あの最初の絵に描かれている動物のぬいぐるみは、カイさんたちでしょうか?間違えていたら、すみません。 (2022年9月15日 6時) (
レス) @page50 id: d57692a101 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃色の夢(プロフ) - ただのら民@ピーたーさん» おはようございます＾＾そして素敵な感想ありがとうございます♪今日知ってくださったのですね（嬉）本当にありがとうございます。とても励みになります（幸）今後も頑張りますのでよろしくお願いいたします(*^^*) (2020年6月3日 4時) (レス) id: ef139e1273 (このIDを非表示/違反報告)
ただのら民@ピーたー - どうもこんちゃこんばんわついでにおはよう！ただのら民のピーたーです（ﾋﾟｺﾝ）今日この作品を知りまして読ませていただきました！【ルナー】など、作者さん特有の世界を覗くことができて非常に良かったです！この作品がもっとhitすることを願って… (2020年6月3日 2時) (レス) id: a37e444ba1 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃色の夢(プロフ) - 水月さん» 嬉しい感想をありがとうございます＾＾天使･･･！とても素敵な表現をしてくださりありがとうございます♪そう言っていただけて本当に励みになります。今後も頑張りますのでよろしくお願いいたします(*^^*) (2020年5月24日 14時) (レス) id: ef139e1273 (このIDを非表示/違反報告)
水月 - 始めまして！最初から読んでて思った事それは....るぅちゃんがとてつもなく天使だなぁって思いました！此処まで天使なるぅちゃんを書けるのは瑠璃色の夢さんだけだと思いました！なのでこれからも更新楽しみにしています。頑張ってください！ (2020年5月24日 13時) (レス) id: 13085b09f2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：瑠璃色の夢 | 作成日時：2020年3月25日 11時
