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『籠(かご)』と呼ばれるにはあまりにも不似合いな未来的な乗り物で、止まっている今でも、その物体は20cmほど空中に浮いていて、微妙にふよふよと上下しています。
見た目はモーターボートのような感じで、その上には膜を張るように透明なしゃぼん玉のようなものに覆われていました。
リクが近づくと、その『籠』は、シャボン玉の部分が某アニメの猫の乗り物が入り口を広げるように、みょんという可愛らしい音と共にしゃぼんの部分が広がります。
元々るうがいた世界よりも、こういう技術は進んでいるのかもしれませんが、それは科学によるものなのか、魔法的な部分なのかは、今のるうには分かりませんでした。
口が開いたままのるうを面白そうに見ていたリクは、その入り口から入ると柔らかそうなソファーのような椅子に腰を沈ませて座り、操縦席?にいる前に座っている騎士に声をかけると、滑るように動き出します。
リクの膝の上から、ハイハイでもするかのようにソファーに移動したるうは、そのしゃぼんに興味を惹かれました。
「さわっても、われにゃい、でしゅか?」
「ん?ああ。るうの力なら全力で殴っても割れないと思うぞ」
殴りませんってば・・・。
その言葉を聞いてほっとしたるうは、透明で艶のあるしゃぼんを指で恐る恐るつついてみましたが、ぽよんと弾力のあるしゃぼんは柔らかいのに割れる気配はありませんでした。
飽きずにぽよぽよと弾力を楽しんでいるるうの後頭部をリクは面白そうに観察していましたが、ふとるうがこちらに振り返って、大きな零れそうな瞳でリクを見上げると、コテリと首を傾げます。
「どうした?飽きたのか?」
「のりもの、ばしゃ、おもって、ました」
るうの言葉にリクはぱちぱちと瞬くと、ふっと口元を緩めて納得しました。
「馬はいる。騎士は大体馬を使うが、るうはルナーだろう?怪我をするかもしれない不確かなものに乗せられない。国の王族や上流の貴族は、ほとんどは籠を使うな。馬車などの移動手段は中級、下級貴族や、平民などがよく使う」
「るう、きぞきゅ、ちあう、でしゅ」
今度はるうが、パチパチと瞬きをして、コテリと首を傾げました。
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ダリア - やはり貴方様の書く作品は迚素晴らしい物ですね!るうちゃん物凄く好きです!可愛い!登場人物は全員好きになってしまいました!! (2022年9月15日 3時) (レス) @page50 id: d57692a101 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃色の夢(プロフ) - やほ子さん» 読んでくださっていたのですね。ありがとうございます!今は繁忙期で少し忙しくて更新が遅いですが今後もよろしくお願いします^^ (2021年3月17日 0時) (レス) id: ef139e1273 (このIDを非表示/違反報告)
やほ子(プロフ) - 瑠璃色の夢さん» なるほど!!私少し前に読んでました!リメイク版が見れるなんてうれしいです! (2021年3月16日 21時) (レス) id: d9cd79b552 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃色の夢(プロフ) - やほ子さん» コメントありがとうございます。こちらは以前別サイトで投稿していた小説のリメイク版になります^^現在は瑠璃色の夢という名でしていますが以前は瑠璃夢という名で投稿しておりました。 (2021年3月16日 15時) (レス) id: ef139e1273 (このIDを非表示/違反報告)
やほ子(プロフ) - この小説他のサイトにも投稿してらっしゃったりしますか? (2021年3月16日 14時) (レス) id: d9cd79b552 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠璃色の夢 | 作成日時:2020年1月29日 16時