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るうがいくつかの料理を選んで席についたまではいいのですが・・・。
ざわざわと食堂がざわめいているのを感じながら、るうはまたもや自分の小さな体を恨めしく思っていました。
「・・・私からは、るうの可愛らしい額しか見えないのですが。この問題を忘れていましたね・・・」
「ああ、そうだな。これは屋敷のるうが過ごす場所だけでも急ぎで改装させよう」
カイとリクの言葉に打ちのめされながらも、机の下から見える景色にるうはため息をつくしかありません。
るうが椅子の上に降ろしてもらい、座ったまではよかったのですが、テーブルが高すぎてるうの選んだ料理はおろか、向かいの席にいるリクとカイの姿さえ見えず、目に映るのはテーブルの下の二人の腰から下の様子だけだったのです。
「ふふ。あなたという人は本当に・・・。仕方ない子ですね」
「みゃっ!?」
アルはるうが眉を下げているのを見て、微笑ましそうにしていましたが、あまりにもるうがしゅんとしてしまったためにるうを抱き上げて膝の上に乗せました。
一気にテーブルの上の料理と、リクとカイの顔が見えたるうは、びっくりして腰に回されていたアルの腕にしがみつきます。
そして安定しているのを確認すると、ほっとした後アルを見上げました。
「はい。ぼくが支えていてあげますから、ちゃんと食事はとってくださいね」
「ありゅ・・・。で、でも」
「るう。アルが嫌なら私の膝にしますか?」
「いや、1番初めに顔を合わせた俺の膝の方が落ち着いて食えるだろう。おいで」
どうやらるうには、1人で食事をするという選択肢は残されていなかったようです。
ある意味、周りで様子を窺っていた騎士たちにとっても、それはそれは恐ろしい光景でした。
ルナーであるるうが生まれるまでは、訓練の鬼として恐れられていた鬼神のようなリク。
冷ややかな氷のような微笑みを浮かべながらも、この人には良心がないのかと思うくらいのハードスケジュールを組み、どんなに強靭な精神の持ち主でさえ廃人にしてしまうカイ。
そして怒らせれば治療を行われる際、有り得ないほどの苦痛を与えてくる医務室の悪魔と密かに噂されるアル。
その恐れられている騎士団の3大魔人がるうという幼子を我先にと取り合う姿など、悪夢でしかないのでした。
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ダリア - やはり貴方様の書く作品は迚素晴らしい物ですね!るうちゃん物凄く好きです!可愛い!登場人物は全員好きになってしまいました!! (2022年9月15日 3時) (レス) @page50 id: d57692a101 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃色の夢(プロフ) - やほ子さん» 読んでくださっていたのですね。ありがとうございます!今は繁忙期で少し忙しくて更新が遅いですが今後もよろしくお願いします^^ (2021年3月17日 0時) (レス) id: ef139e1273 (このIDを非表示/違反報告)
やほ子(プロフ) - 瑠璃色の夢さん» なるほど!!私少し前に読んでました!リメイク版が見れるなんてうれしいです! (2021年3月16日 21時) (レス) id: d9cd79b552 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃色の夢(プロフ) - やほ子さん» コメントありがとうございます。こちらは以前別サイトで投稿していた小説のリメイク版になります^^現在は瑠璃色の夢という名でしていますが以前は瑠璃夢という名で投稿しておりました。 (2021年3月16日 15時) (レス) id: ef139e1273 (このIDを非表示/違反報告)
やほ子(プロフ) - この小説他のサイトにも投稿してらっしゃったりしますか? (2021年3月16日 14時) (レス) id: d9cd79b552 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠璃色の夢 | 作成日時:2020年1月29日 16時