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私の名前はるう。
名字は何故か思い出せない。
覚えているのは、私はとても身体が弱くて中学生に上がってすぐの頃には両親に看取られて病院で死んでしまったことだけ。
薄れていく意識の中で、パパとママの啜り泣く声だけが耳に残っている。
次に意識が浮上した時には薄暗い空間にいた。
私は小さな綿毛のような光になってふわりふわりと浮かんでいたんだ。
周りにもたくさんの小さな光が色んな色を纏って浮かんでいる。
私は何色なんだろうとぼんやりと考えていると、白い布を纏った何人もの人たちが現れた。
その人たちは1人1人、浮かんでいる光を選んで手の中に収めると、満足そうに微笑んで消えていった。
白い布を纏った人はおじいさんだったり、おじさんだったり、時には若いお姉さんだったりしたけど、みんなとても優しそう。
浮かんでいた光はひとつ、またひとつと消えていって、とうとう周りは真っ暗になり最後には私だけが残ってしまった。
私は選んでもらえない、愛されなかったと、とても悲しい気持ちになった。
すると、最後まで動かなかったお兄さんがゆったりと私の前に歩いてきた。
「おいで。私の愛しい子」
そう口を開くと、私はお兄さんの手の平に落ちていく。
見上げると、口元に微笑みを浮かべたお兄さんは、「幸せにおなり」と言ってくれて、そこで私の意識はまた薄れていった。
次に目が覚めた時には乳白色の膜のようなものに包まれてプカプカとその中で浮いていた。
まるで卵の中のよう。
何時間か何日か、時間の感覚が掴めないくらい閉じ込められて、その間も何故か安心するようなふわふわとした感覚に囚われてうとうと。
お母さんのお腹の中にいる赤ちゃんってこんな感じなのかなぁ?
うとうとうと。
ふわふわふわ。
ずっとこの中にいられたら、どんなに幸せなんだろう。
もしかして本当に私、女の人のお腹の中にいて、生まれ変わっちゃったりして、なんて思い始めた。
そしたら私、今度はどんなお家に生まれて、どんな両親に育てられて、どんな人生を歩んでいけるかな?
そんな、ここから出た後のことを考え始めた頃、私を覆っていた膜が、ふよふよと柔らかい光になって私を包み込み始めた。
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ダリア - やはり貴方様の書く作品は迚素晴らしい物ですね!るうちゃん物凄く好きです!可愛い!登場人物は全員好きになってしまいました!! (2022年9月15日 3時) (レス) @page50 id: d57692a101 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃色の夢(プロフ) - やほ子さん» 読んでくださっていたのですね。ありがとうございます!今は繁忙期で少し忙しくて更新が遅いですが今後もよろしくお願いします^^ (2021年3月17日 0時) (レス) id: ef139e1273 (このIDを非表示/違反報告)
やほ子(プロフ) - 瑠璃色の夢さん» なるほど!!私少し前に読んでました!リメイク版が見れるなんてうれしいです! (2021年3月16日 21時) (レス) id: d9cd79b552 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃色の夢(プロフ) - やほ子さん» コメントありがとうございます。こちらは以前別サイトで投稿していた小説のリメイク版になります^^現在は瑠璃色の夢という名でしていますが以前は瑠璃夢という名で投稿しておりました。 (2021年3月16日 15時) (レス) id: ef139e1273 (このIDを非表示/違反報告)
やほ子(プロフ) - この小説他のサイトにも投稿してらっしゃったりしますか? (2021年3月16日 14時) (レス) id: d9cd79b552 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠璃色の夢 | 作成日時:2020年1月29日 16時