第6話 ページ8
それから暫く無駄話をしてから、私はふと気になったことを尋ねる。
「三橋くんって、家こっちなの?」
「ううん、逆方向だけど」
「えっ!?」
もしかして、私に気を遣って送ってくれているんだろうか。
それは流石に申し訳ない。三橋くんだっていくら強くても学生なんだし、私のせいで帰り道に襲われたりでもしたら……その後悔は墓までずるずると引きずることになるだろう。
「えってなんだよ、たまたまこっちに用があっただけですぅ」
別にお前のためじゃないですぅ、と面倒臭そうにそう言われたけれど、それも嘘な気がした。
優しいやつめ、と軽くつつくと、三橋くんは拗ねたように唇を尖らせた。
「……えへへ」
「気持ち悪ぃな、だからちげーって言ってんだろ」
垣間見えた優しさが嬉しくて、照れくさくて。思わずにやけた私に、三橋くんは不満そうに声を漏らす。
「でも、もうここで大丈夫だよ。家だってすぐそこだし」
「俺が善意でついてきた前提で話進めてんじゃねぇよ、バカ」
じゃあ言われたとおりに帰ってやるわ、と三橋くんは軽く私の頭を撫でた。
きっと撫でやすい位置にあっただけなんだろうけど。慣れないことをされて、顔が赤くなっていくのが自分でも分かる。
それを愉快そうに眺めた後、三橋くんは「じゃあね〜」と爽やかな顔で去って行った。
……本当に、変な人だ。
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相馬白楽(プロフ) - 841(やよい)さん» ありがとうございます……!!恐縮です!受験シーズンで更新遅めですが、何卒よろしくお願いします! (2019年1月22日 15時) (レス) id: abbe031de4 (このIDを非表示/違反報告)
841(やよい)(プロフ) - イラストもうまくて文章力も凄いです…!あなたは神ですね……!! (2019年1月7日 14時) (レス) id: af225abe0a (このIDを非表示/違反報告)
相馬白楽(プロフ) - カナリアさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!これからも頑張って参ります! (2018年12月8日 21時) (レス) id: 099d65d280 (このIDを非表示/違反報告)
カナリア(プロフ) - とっても面白いです更新頑張ってくださいとってもたのしみにしてます! (2018年11月23日 19時) (レス) id: 0cf1c80018 (このIDを非表示/違反報告)
相馬白楽(プロフ) - 智世琴さん» わーっありがとうございます!文章力を褒めていただける日が来るなんて;;;; 地の文が多いのがクセで、かなり抑えたので不安だったのでそう言っていただけて嬉しいです!応援よろしくお願いします(∩´∀`)∩♪ (2018年11月15日 18時) (レス) id: 83bc508e1d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:相馬白楽 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/soranana/
作成日時:2018年11月14日 16時