第15話 ページ18
「どうしたの三橋くん、そんな顔して」
置いてきぼりにしてしまっていた三橋くんを迎えに喫茶店へと戻ってくると、何故かとても不機嫌な顔をされてしまった。
「伊藤のバカのせいで、金が足らんかったのじゃ」
「あ、ああ……なるほどね」
それなら仕方ないと代わりに払おうとした私は、注文履歴を見て思わずぎょっとしてしまった。
「三橋くん、キミってやつは……」
恐らく全て三橋くんによるものであろう、店内でも高価な部類に入るパフェが4つも頼まれていた。
どれだけ伊藤くんに奢らそうとしてたんだ。そして伊藤くんはいつもこんなに奢らされているのか……。
驚きを通り越してもはや呆れを隠しきれないでいると、三橋くんがいきなり目の前でしゃがみこんだ。
「伊藤のヤロー、まんまとお前らに騙されてたな」
女の割にはやるじゃねぇかよ、と笑ってくれた三橋くんに、私はゆっくりと首を振った。
「全部が全部、演技ってわけでもないよ」
ーー私は、知っていた。
あの日、伊藤くんに抱き締められているところを、京子さんに見られてしまっていたことを。
だから京子さんも、初めは私のことが嫌いだったんだろう。演技している最中の彼女の言葉も、きっと半分くらい本心だ。
『……どうして、私だけを誘ってくれたの？』
ーー私のあの言葉も、どうしてこの計画に乗ってくれたのかというただの純粋な疑問だ。演技というには少し違う。
そんなことを考えていると、三橋くんは僅かに眉を顰めた。
「……オメー、まさかほんとに伊藤のヤローに惚れたりしてねぇだろうな」
「えっ？」
予想外の言葉に思わず聞き返してしまう。
なるほど、私が『演技じゃない』なんて言ったばかりに、勘違いをされたのかもしれない。
「違うよ、惚れてなんか……全然、そんなんじゃ」
自分に言い聞かせるようにそう言うと、三橋くんは「そーかよ」とどうでも良さげに前を向いた。
「そんなコトより、聖子ちゃんの写真集な」
そうニカッと笑って私の頭を撫でた三橋くんは、やっぱりちょっとだけ、格好良かった。
.
ーーーーーーーーーーーーーーーー
約7話もの間、京子ちゃんのお話にお付き合いいただきありがとうございました！
シリアスが続きましたね……
次回からは三橋くん達がドタバタ空回りながらも頑張ってくれると思うのでお楽しみに！
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相馬白楽(プロフ) - 841(やよい)さん» ありがとうございます……！！恐縮です！受験シーズンで更新遅めですが、何卒よろしくお願いします！ (2019年1月22日 15時) (
レス) id: abbe031de4 (このIDを非表示/違反報告)
841(やよい)(プロフ) - イラストもうまくて文章力も凄いです…！あなたは神ですね……！！ (2019年1月7日 14時) (レス) id: af225abe0a (このIDを非表示/違反報告)
相馬白楽(プロフ) - カナリアさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！これからも頑張って参ります！ (2018年12月8日 21時) (レス) id: 099d65d280 (このIDを非表示/違反報告)
カナリア(プロフ) - とっても面白いです更新頑張ってくださいとってもたのしみにしてます！ (2018年11月23日 19時) (レス) id: 0cf1c80018 (このIDを非表示/違反報告)
相馬白楽(プロフ) - 智世琴さん» わーっありがとうございます！文章力を褒めていただける日が来るなんて；；；； 地の文が多いのがクセで、かなり抑えたので不安だったのでそう言っていただけて嬉しいです！応援よろしくお願いします(∩´∀｀)∩♪ (2018年11月15日 18時) (レス) id: 83bc508e1d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：相馬白楽 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/soranana/
作成日時：2018年11月14日 16時
