第13話* ページ16
三橋とAが京子から相談を受けたのは、つい1時間ほど前のことだ。
4人で帰っている途中、伊藤がトイレの為にコンビニに立ち寄ったとき、京子がポツリポツリと話し始めたのだ。
ーーそれは、彼氏である伊藤のこと。
本当に伊藤が自分のことを好きなのか分からない、とのことだった。
普段誰よりも伊藤と一緒にいる三橋からすればそんな心配は無用に思えたが、Aは京子にとある提案をした。
「じゃあ、試してみたらどう?」
「試すって、どー試すんだよ」
「私と京子さんがドロドロの修羅場作って見せつけてさ。本当に伊藤くんが京子さんのこと好きなら、ちゃんと本音言ってくれるだろうし」
そうウキウキと楽しげに話すA。
絶対本人がやりたいだけである。
「まあ待て落ち着けよA、そんなん京子ちゃんがやるわけ……」
「やります」
「やるんかーい! えっ本気でやるの京子ちゃん?」
女という生き物は、どうしても男を試したいらしい。
やっぱり世の中、三橋には理解し難いことだらけだ。
***
と、そんな経緯があり、三橋も白々しく伊藤を誘ってここに来たというわけである。
もちろん三橋だって、なんの見返りもなくこんな無意味なことに協力しているわけではない。
リア充の手助けなんて自ら進んでやるはずもない。
全ては、Aから貰う予定の松田聖子の写真集のためだ。
三橋が4つ目のパフェを完食し終えたところで、店の入り口のベルがチリリンと鳴った。
どうやら、2人は争いながら店外へ出たらしい。
そのとき、勢いよく伊藤が立ち上がった。
「俺、行かねぇと……!」
そう言って店を出て行った相棒を見送って数秒後、三橋は気づく。
ーー「伊藤おめぇ会計どうすんだよ!」
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相馬白楽(プロフ) - 841(やよい)さん» ありがとうございます……!!恐縮です!受験シーズンで更新遅めですが、何卒よろしくお願いします! (2019年1月22日 15時) (レス) id: abbe031de4 (このIDを非表示/違反報告)
841(やよい)(プロフ) - イラストもうまくて文章力も凄いです…!あなたは神ですね……!! (2019年1月7日 14時) (レス) id: af225abe0a (このIDを非表示/違反報告)
相馬白楽(プロフ) - カナリアさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!これからも頑張って参ります! (2018年12月8日 21時) (レス) id: 099d65d280 (このIDを非表示/違反報告)
カナリア(プロフ) - とっても面白いです更新頑張ってくださいとってもたのしみにしてます! (2018年11月23日 19時) (レス) id: 0cf1c80018 (このIDを非表示/違反報告)
相馬白楽(プロフ) - 智世琴さん» わーっありがとうございます!文章力を褒めていただける日が来るなんて;;;; 地の文が多いのがクセで、かなり抑えたので不安だったのでそう言っていただけて嬉しいです!応援よろしくお願いします(∩´∀`)∩♪ (2018年11月15日 18時) (レス) id: 83bc508e1d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:相馬白楽 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/soranana/
作成日時:2018年11月14日 16時