エピメディウム (ページ6)

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「・・・京本、か・・・」

「何で松村そんな険しい顔してるの」

「いや、なんか馬が合わないんだよね」

「王子と？」

「うん、話したことないんだけどね・・・」

「何それ意味わからん笑」

紗英ちゃんと北斗がそんな会話をしている間、私は気が気じゃなかった。

京本くんと勉強会・・・緊張で吐きそう・・・

「Aは何でそんなそわそわしてるの？」

「だって、す・・・・」

「す？」

「すき焼き急に食べたくなってきちゃって笑あはは・・・」

危なく北斗に京本くんのことが好きとばれるところだった。

「なんかA変だね」

「Aが変なんていつものことじゃん」

「それもそうか」

「ねえ笑」

紗英ちゃんのおかげで何とかばれずに話を逸らせた。

そうして三人でおしゃべりをしていると、

「ごめん、お待たせ」

京本くんが用事から帰ってきた。

「ううん、全然待ってないよ。じゃあ行こう！」

紗英ちゃんが元気にそう言って、北斗の腕を掴んで歩き出した。「瀬崎、いてえよ!」と大げさに痛がっている北斗が面白くて笑った。

「Aさんとこうやって話すの、久しぶりだね笑」

「・・・だね笑」

隣に京本くんがいることを忘れていつものように笑ってしまって、恥ずかしくなった。

京本くんとはあの席替えの時以来ちゃんと話す機会がなかった。あの数日後、授業の都合でまた席替えをすることになってしまい、私は結局京本くんと挨拶くらいしか話せなかったのだ。

「俺以外の異性の友達、できたんだね」

「北斗のこと？趣味が一緒で、意気投合した笑」

「ちょっと、妬けちゃうかも笑」

「・・・え」

「俺よりも仲良くなってるんだもん笑もっとAさんに話しかけるね笑」

その言葉に動揺して顔が真っ赤になっているとき、ちょうど紗英ちゃんに話しかけられて京本くんとの会話は終わった。でも、その後も京本くんの「妬けちゃう」という言葉は頭から離れなかった。

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