エピメディウム (ページ5)

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あれから私は、どんどん仲良くなっていった。京本くんと・・・ではなく、隣の席の松村くんと。

「・・・Aさん」

休み時間に本を読んでいたら、突然名前を呼ばれた。驚いて横を見ると、

「湊かなえ、好きなんです、か」

松村くんがこちらを向いて恐る恐るそう聞いてきた。

「・・・・・・ふっ」

「・・・なんで笑うの」

思わず吹き出してしまうと、松村くんは怪訝な面持ちでそう言った。

「ごめん笑だってそんな深刻な顔で聞くことじゃないじゃん笑」

「・・・緊張して損した」

松村くんは拗ねたような顔をして言った。その顔が面白くて、からかおうと思い、

「好きだよ」

「え」

「あ、松村くんのことじゃないよ笑湊かなえが好き」

「・・・・・・はあ、Aさんってこういう人だったの・・・」

大げさにため息をついた松村くんを見て、私はまた吹き出した。

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好きな作家が同じだと分かり、私たちはあっという間に仲良くなった。

必然的に紗英ちゃんと松村くんも仲良くなり、３人でいることが多くなった。

そんな、11月の始め。

「今日私の家で勉強会しようよ」

「俺はいいけど、Aは予定大丈夫？」

「大丈夫！もうすぐテストだし頑張らなきゃ笑」

「松村がいれば安心だね、聞きまくるわ」

「でも俺文系教科しか教えらんないよ？」

「え、北斗理系できないの」

「赤点とるほどひどくはないけど、結構勉強して平均くらいだから得意ではない」

「松村つかえねえ」

「小声でも聞こえてるからねしっかり」

「でもどうする？理系教えてもらえなかったらAと私また赤点パレードだよ・・・」

私と紗英ちゃんは、前期のテストで赤点ばかりだった。特に理系科目。

「どうしよう・・・誰か誘う？」

「うちのクラスで理系得意な帰宅部・・・・・・あ」

「紗英ちゃんいい人いた？」

「うん、完璧に当てはまってる人いたわ」

そう言って紗英ちゃんは、歩いていって話しかけた。

次の授業の準備をしている京本くんに。

「京本くん、突然なんだけど、今日の放課後って空いてる？」

「うん、空いてるよ。どうかした？」

「あのね、今日松村とAと勉強会するんだけど、京本くんもどうかなって・・・」

そのとき、一瞬だけ京本くんと目が合った気がした。

「いいよ、楽しみにしてるね」

京本くんはそう言って、いつもの王子様のような笑顔で笑った。