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「おはよう、Aちゃん」
次の日京本くんは、何事もなかったかのように私に挨拶した。
「・・・・・・おはよう、京本くん」
昨日のことは夢だったのではないかと錯覚するほど、いつも通りの挨拶だった。
あの後京本くんは、荷物を持って家から出て行った。いつものように、「お邪魔しました」と言って。
「今日も放課後家行くから」
京本くんは耳元でそう言ってから、自分の席に座った。
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学校や帰り道での京本くんは、前のような優しい京本くんだった。でも話す度、微笑まれる度に、昨日のことが頭をよぎる。
家に着いて、私は覚悟を決めて声を出した。
「・・・・・・・・・きょうもとくん、」
「もしかしてお前、俺と別れようとか考えてる？」
「・・・・・・え、っと」
震えた声で言おうとした言葉は、京本くんにあっさり見破られた。
「お前も他の女と同じなんだな。外面だけで判断して」
「・・・・・・いや、」
「俺のこと知ろうとしなかったもんな。お前も好きなのは、『かっこよくてみんなにやさしい王子様みたいな京本くん』だろ？」
否定しようと口を開いたけれど、できなかった。・・・・・・確かに、私は京本くんを知ろうとしていなかったのかもしれない。上辺だけを見て、勝手に好きになって。彼の言葉に、勝手に浮かれてドキドキして。話しかけて話題を振ってくれるのは京本くんで、いつも私は受け身の姿勢だった。
「・・・・・・」
「本当の俺を知ったら、みんな離れていく」
すごく寂しそうな顔で、そう言ったから。
「・・・・・・・・・・ごめんなさい」
「・・・許さない、傷ついたから」
「・・・・・・・・・ごめん」
「謝罪なんか求めてない」
「・・・・・・・・・・」
「何があっても、俺から離れない」
「・・・・・・え」
「そう誓ってよ。そしたら、許す」
「・・・・・・でも、・・・」
京本くんの凪いだ瞳を見てから、私は言葉を続けられなかった。
このままだと、彼は消えてしまう。直感的にそう思った。
「・・・・・・わかった。・・・京本くんのそばにいる」
「・・・・・・うん」
もう、逃げられない。
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続く (更新停止中)
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作者名：あいす | 作成日時：2022年8月10日 2時
