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食材を購入して伊吹さんの自宅へ。
男の人の家、初めてだ…今更緊張…
「ようこそ我が家へ!」
「靴…!」
「俺のコレクション〜」
「男の子の部屋って感じですね。かっこいい」
「ありがと〜。あ、ここ座ってて」
ローテーブルの前に座ると、食材を冷蔵庫に入れてくれる。
「はいこれ。まぁ家出る時はだいたい俺が一緒だと思うけど、一応ね。…こういうの、憧れるじゃん?」
合鍵。
わ…テレビで見たことある…
「急遽決めちゃったから部屋は今度片付けるね、ごめん。寝る時はベッド使って?あ、ちゃんとシーツかえるから!」
「えっ、伊吹さんは…?」
「俺はそこら辺に転がって寝られるからさっ」
「…ありがとうございます。夕飯作りますね」
「やったー!その間に俺は風呂掃除とシーツを…」
チキン南蛮に、健康的な副菜をいくつか。
「…うんめぇ!お菓子だけじゃなくて料理も得意なの?!最強じゃない?」
「母親とよく作ってたので…」
「母親譲りなんだね〜。お母さんも料理上手なんだな。Aちゃんはいいお嫁さんになるねっ」
母のことを現在形で話してくれる。
それだけで心が温かくなる。
一緒に食器を片付け、お風呂を借りた。
いつもシャワールームを使っていたから浴槽は久しぶり。
"お風呂上がりのきゅるきゅるさ、罪!"と言い残して伊吹さんもお風呂へ。
そして寝る前に少しだけ雑談。
「変なこと言ってもいいですか…?」
「ん?」
「伊吹さんと話した日は怖い夢みないんです」
「怖い夢?」
「いつも見る夢があって…暗闇の中で声も出せずに座ってて、遠くの方に光りが見えてくるんです。
そっちに向かうと足元の道がなくなって、落ちる」
「良く寝不足な時があるみたいだけど、それが原因か」
「いつも落ちたところで目が覚めて…」
「じゃあ、今日は熟睡だ!
…最初の頃に比べてさ、考えてること言ってくれるようになったよね。ほら、俺って他人なわけじゃん?心開いてくれてんだな〜って。特別感?もあって、どんどん好きになっちゃうんだと思う」
「…っ」
「あ、照れた?ははっ、か〜わい〜。
そろそろ寝よっか」
「はい…」
ベッドの下に布団を敷いて横になる伊吹さん。
電気を消しても、伊吹さんの気配を感じる。
落ち着く…
「っ!」
斜め下に広げていた手が、大きな手に引っ張られた。
驚いたけど、手を繋ぎ返した。
言葉を交わすことなく、そのままスッと眠りに落ちた。
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終(プロフ) - 第一章がどれかわからないので教えてもらえると助かります (2021年1月18日 17時) (レス) id: 8e51380abb (このIDを非表示/違反報告)
おーたむ(プロフ) - リリアさん» こんな文才を褒めて頂けるなんて光栄すぎます!!!読み直してもらえる作品になっただなんて( ; ; )すれ違い、かしこまりました(^^) (2020年10月19日 8時) (レス) id: e55edcc942 (このIDを非表示/違反報告)
リリア - 凄く面白かったです!伊吹さんの優しさと夢主さんの健気で可愛い所が最高です。おーたむ様の文才に感動しました!何回も読み直してしまうほど好きです!すれ違いや喧嘩したりする話も読んでみたいです。これからも応援しております。 (2020年10月18日 3時) (レス) id: daabe5a53e (このIDを非表示/違反報告)
おーたむ(プロフ) - 由羽さん» 文面を褒めて頂けるなんて…ロス同じですね( ; ; )とても嬉しいコメントありがとうございます…!!!イチャこらと恋バナ、承知しました♪ (2020年10月15日 7時) (レス) id: e55edcc942 (このIDを非表示/違反報告)
由羽 - とても面白かったです。台詞も文章もとても素敵で毎日更新されるのを楽しみにしてました。私もロスが続いているので、できればまた書いていただけたら嬉しいです。(伊吹とのイチャイチャや、伊吹と志摩の恋バナを書いていただけたら嬉しいです)ありがとうございました! (2020年10月14日 19時) (レス) id: 7535220b5c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おーたむ | 作成日時:2020年9月12日 14時