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「…何してんの?」
ロールケーキ、うますぎ。
Aちゃんが包帯部分をツンツンしてる。
「頭、痛いのかな、って」
「もう痛くないよ〜。…で、ほんとはなに?」
「隣、座りたいな、って…」
「可愛い!合格!ここおいで」
隣をポンポンすると、ベッドから降りて俺の隣に座る。
「ケーキ、めっちゃうまいよ。ありがとな」
「…今日、怖かったです」
「うん」
「いなくなっちゃったらどうしよう、って」
「…うん」
「警察官だから…危険なところに行くのは、避けられないってわかってるんですけど…
でも…いなくなっちゃいそうで…」
「心配かけてごめん。気をつける…
Aちゃんの近くにいるよ」
泣きそうなAちゃんの頭を、落ち着くまで撫で続けた。
ケーキを食べる手は止めることなく。
「これうめぇな〜まじで。俺今幸せ〜」
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またあの夢をみた。
光りのもとへたどり着くと、誰かが離れていく後ろ姿。
きっと、私のお母さんなんだ。
「待って!…待って!!」
少し歩みを緩めるその人。
もう少し。もう少しではっきりとわかる。
「待っ…!」
「Aちゃん?また夢見た…?」
「…ひゃっ」
「あ、ごめん…今日夢見たの、俺が原因だよな…
不安にさせたから…」
条件反射で伊吹さんが差し伸べてくれた手を避けてしまった。
もうそんなこと、したくないのに…
「ごめんなさい、私また…」
「気にしないで。おやすみ」
翌朝、伊吹さんは普通通りに接してくれた。
でも凄く違和感がある。
ガマさんの事件の後みたいに、無理に自分を作っている気がする。
私が悪いのだけれど…
「伊吹さん」
「ん〜?」
「今日、作りたいものがあるので芝浦署に泊まりますね」
「…そっ、か。
ん、わかった!よしっ、行こっか!」
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「伊吹」
「ん〜?」
「運転かわれ」
「え?なんで。いいよ」
「それじゃ事故んだろ」
どうやら志摩には俺が上の空だと言うことがバレているらしい。
「Aちゃんと何があった」
「なんでそうなんの?」
「今のお前にそれ以外悩むことあるのか?」
「ひっで〜な。俺にだって悩みのひとつやふた「んでなんにがあった」」
志摩には隠せねぇ。
「俺らの仕事ってさ、命の保証ないじゃん?
どうやって安心させてやったらいいんだろうなって、さ」
「お前にしては難しい問題だな」
「おい、ちょいちょい悪口入れんなよ」
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終(プロフ) - 第一章がどれかわからないので教えてもらえると助かります (2021年1月18日 17時) (レス) id: 8e51380abb (このIDを非表示/違反報告)
おーたむ(プロフ) - リリアさん» こんな文才を褒めて頂けるなんて光栄すぎます!!!読み直してもらえる作品になっただなんて( ; ; )すれ違い、かしこまりました(^^) (2020年10月19日 8時) (レス) id: e55edcc942 (このIDを非表示/違反報告)
リリア - 凄く面白かったです!伊吹さんの優しさと夢主さんの健気で可愛い所が最高です。おーたむ様の文才に感動しました!何回も読み直してしまうほど好きです!すれ違いや喧嘩したりする話も読んでみたいです。これからも応援しております。 (2020年10月18日 3時) (レス) id: daabe5a53e (このIDを非表示/違反報告)
おーたむ(プロフ) - 由羽さん» 文面を褒めて頂けるなんて…ロス同じですね( ; ; )とても嬉しいコメントありがとうございます…!!!イチャこらと恋バナ、承知しました♪ (2020年10月15日 7時) (レス) id: e55edcc942 (このIDを非表示/違反報告)
由羽 - とても面白かったです。台詞も文章もとても素敵で毎日更新されるのを楽しみにしてました。私もロスが続いているので、できればまた書いていただけたら嬉しいです。(伊吹とのイチャイチャや、伊吹と志摩の恋バナを書いていただけたら嬉しいです)ありがとうございました! (2020年10月14日 19時) (レス) id: 7535220b5c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おーたむ | 作成日時:2020年9月12日 14時