二・暗闇から連れ出す

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【BGM 機捜って、いいな】


タクシーを待っている間、伊吹がAをおぶってくれている。




「隊長〜」

「なに？」

「さっきの"もう、みんなに愛されていいんだよ"って言葉、響きました。俺も子どもの頃は周りに恵まれてなくって。
そんな中でも自分を信じてくれたり、寄り添ってくれる人がひとりでもいるって結構でかいんすよ」

「私もこの男社会でやっていくのはかなりキツいものがある。でも伊吹の言う通り、自分のことを見てくれている人がいるって大きいよね。私には旦那がいたし、今もハムちゃんやゆたかがいる」

「俺たちも」

「…そうね、うん。すごく助けられてる」

「Aちゃんにとって、それが桔梗隊長や俺らになってくれたら嬉しいです。てか、こっちはバリバリ慕っちゃってるんですけどね！」

「ははっ。Aも変なやつに気に入られたもんだ」

「逆ですよ？俺が気に入られてるんですよ？」

「あーそうだったわね。志摩と伊吹みたいに、化学反応を起こすこともあるってことよね」

「そーっすよ。やってみなきゃわかんねーこと、たくさんあるんで。…あ、来ましたね」




隊長が乗った後にAちゃんを乗せ、タクシーを見送る。




「急に寂しいな。…おい、どうした俺っ！
さっ、かーえろっ」





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「おかえりな、Aちゃん？どうしたの？！」

「酔っちゃったみたい。ごめんハムちゃん、布団敷いてくれる？」

「わかった！」





布団にAを寝かせて、ハムちゃんが煎れてくれたお茶を飲む。




「あ、これ。Aの作ったお菓子。ハムちゃんとゆたかにって預かったけど、本人連れて帰ってきちゃったね」

「ふふっ。ほんとに作ってくれたんだ！嬉しい。明日大事にいただきます」

「うん…」

「…なんか心配ごと？」

「うーん。A、悪夢見てることがよくあるみたいでさ」

「あ、よくうなされてるよね」

「ハムちゃんも気付いてた？」

「苦しそうな声が聞こえてくること、よくあるもん」

「今日、志摩に言われた。リハビリになると思ってたまに捜査協力をお願いしてるけど、自分の過去と重なると、Aはかなり体力を消耗してるみたい。
でもアフターケアが大事だって」

「やめちゃったら、前に進めないから？」

「多分、そう。苦しいことから引き離すことだけが優しさじゃないってことよね」

「私がぎゅーってハグしてあげるから、連れて帰ってきて！」

「ふふっ、わかった」

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