それが恋だと気づいた時 ページ10
子どもの成長は早いとはよく言ったものだ
万次郎は小学校へ入学した
家が近所なので、これからは一緒に登校しようということになった
何かあったら危ないので手を繋いで登校することにした
万次郎は大丈夫とは分かっていても、俺はまだ“お兄ちゃん”が抜けていなかったみたいだ
『万次郎、入学式どうだった?友達できた?』
「入学式は寝てた。初日に友達なんてできねーよ」
『そりゃそーか!』
俺は学校はどんなところかを語りに語った
「…A、帰りも一緒に帰ろ?」
『ん?別にいーけど。じゃあ迎えにいってやるから教室で待ってろよ』
「ホント?わかった、待ってる!」
握りしめる手に力が加わり、万次郎が喜んでいることがわかる
こいつ昔からわかりやすいな
放課後になり、一年の教室へ行こうとランドセルを背負うと友達に声をかけられた
「A〜!今日あそぼーぜ!パパに新しいゲーム買ってもらったんだー!」
「いやいや!Aは俺とサッカーするんだよな!」
「ねえねえ、Aくん!今日うちに遊びにこない?昨日クッキー焼いたの」
仲のいい男友達からクラスの女子まで俺を誘ってくる
自分で言うのもアレだが、俺は友達は多い方だし、なんならみんなから好かれてる
しかし今日は先約があるので…
『わり!今日は約束あるんだ!また今度な!』
断られた男子2人はチェーと言いながら諦め、家へ誘ってくれた女子はショックを受けたように固まった
しかしすまん!可愛い弟分が俺を待ってるから!
…俺ってブラコンだったっけ?
『万次郎!迎えにきたぞー!』
一年の教室を覗いて万次郎を呼ぶが、中々出てこない
その代わりに何やらわあわあと声が聞こえる
「マイキーくんって面白いねぇ〜!♡」
「マイキーくん今日一緒に帰ろうよぉー!♡」
「ちょっと退いてよ!マイキーくんと話せないじゃない!」
う、うわぁ…
万次郎モッテモテじゃん…
アイツの机の周り人だかりで当の本人が全く見えねえ
「わっ、上級生…」
出口の近くにいた生徒が俺を見て声を上げた
『あ、悪い、万次郎…マイキー呼んでくんない?』
「は、はい!」
いい返事を返してくれたが、女子の塊に乗り込んでいく勇気はなかったみたいだ
「す、すみません…」
『いいっていいって、ありがとな』
俺は癖でその子の頭を撫で、そのまま教室へ入った
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作者名:朋香 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ksmkrn12211/
作成日時:2022年8月21日 22時