物心がついても変わらない ページ6
月日はとても吹っ飛んで、俺は小学校に入学した
しんくんと万次郎しか知らなかった俺は、新しい環境で、新しい友達を沢山つくった
そうして友達と遊ぶ時間や勉強の時間が増えてきて、佐野道場へ行く頻度が週に3.4回に減ってきていた
それを4歳になる万次郎は不満に思っているようだった
「なんでまいにちこないの!!」
『…なんでって、学校があるからだよ』
「オレとがっこうどっちがだいじなの!?」
どこでそんな言葉覚えるんだよまったく
そういえば万次郎と同い年の子が道場に入ったらしい
きょろきょろと見渡すと黒髪の少年と目があった
『万次郎、新しい子ってあの子?』
「オレのはなしきいてる!?」
背後で万次郎がぎゃあぎゃあと騒いでいるが、俺はいそいそと道着に着替えて黒髪の子へと近づいた
『はじめまして、俺、Aっていうんだ。お前は?』
「えっ、オレ?圭介…」
『圭介、よろしくな!』
「A!!!!」
万次郎がワナワナと震えながら馬鹿でかい声で俺を呼んだ
『なんだよ、万次郎』
「なんでソイツにかまうんだよ!」
「ハ?」
『なんでって後輩だからだよ。お前も仲良くしろよ、同い年だろ?』
「〜〜〜〜!!」
何か言いたいことが沢山ありそうな万次郎だが、じいちゃんがきて練習がはじまったので、それらが俺に届くことはなかった
組み手の時間では圭介が万次郎に何度も勝負を挑む光景が見られた
ボッコボコにされているが、圭介も弱くはなさそうだ
俺なんて一瞬だろうな
勝つ度に万次郎がいつものように俺の元へ来ようとするが、俺は負けた圭介に近寄って技のアドバイスをしていた
『〜〜〜ってことだ、わかったか?』
「あのさ、Aくん」
『ん?どした?』
「アイツが…」
圭介が指さす方を見ると万次郎が今にも泣きそうに拳いっぱい握りしめている姿が見えた
おっと、流石に放置しすぎた?
そろそろ俺も万次郎にボコボコにされかねんと思って万次郎の目の前に立つ
上目遣いで見上げてくる万次郎は、わかってるよな?とでも言いたげだ
『…万次郎、』
俺は万次郎の頭へ手を伸ばし、いつものように「すごいな」って言って褒めようとした
その時
「よーう、餓鬼ども、頑張ってるかー?」
しんくんだ
『しんくん!!』
俺は万次郎の横を通り過ぎて、大好きなしんくんに飛びついた
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作者名:朋香 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ksmkrn12211/
作成日時:2022年8月21日 22時