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「ふーん…ちょっとそれどんな感じか聞かせてくんね?」
「うーん、まずは朝起きたら私の髪を梳かしてくれる。ご飯の時は口周りを拭いてくれるし、なんか常にお世話されてる感じ」
実際に口に出すと物凄く恥ずかしく感じられるが、香くんは適度に相槌を打ちながら私の話を聞いてくれているようだったので構わず続ける。
「あとは……驚かないでね、夜寝る前には子守唄歌ってくれるの」
そう告げた途端、今まで黙っていた香くんが突然吹き出した。
「うっわ、先生マジかよ超ウケるんですけど……若い娘にそれはないわ、育児ですか的な」
「そうだよねウケるよね〜……っていや、ウケないよ! 私は真剣に悩んでるんだってば」
あまりにも面白がるので、思わず少し大きな声を出してしまう。全く、こっちは本気で気にしてるって言うのに。
彼はひとしきり笑い終えた後、体制を直してこちらに向き直った。一応相談に乗りに来たという目的は忘れてはいないらしい。
「つまりAは先生にトキメキを求めてるって感じでOK?」
その単語に微妙に違和感を感じながらも、あながち間違ってはいないので肯定の返事を返す。
「まあ、そうかも。もうちょっとドキドキしたいというか、恋人らしく扱ってほしいとは思うか」
そう言うと香くんは少し考え込み、手に持っていたアイスティーのグラスをの上に置く。中の氷がカラン、という涼しげな音を立てた。
「んーじゃあ、俺から1つ提案なんだけどいいですか」
そう言うと彼は身を少しこちらに乗り出し、私の返事を待たずに続けた。
「先生じゃなくてさ、いっそ俺にしとかね?」
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作者名:田中 | 作成日時:2018年5月22日 16時