【鬼滅の刃】氷の刃【参】 (ページ8)

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音柱と蛇柱ページ8

「ふぅんそうか。ふぅん、陸ね。一番下だ上弦の。陸とはいえ上弦を倒したわけだ。実にめでたいことだな。陸だがな。」

満身創痍の宇髄は、目の前にいる男の言葉を無言で聞いていた。

いつ終わるのかなコレ、と胸の中で思う。

「褒めてやってもいい」

そんな尊大な態度で男―――蛇柱の伊黒小芭内は宇髄を見下ろした。

「いやお前から褒められても別に…」

「そうですよ！！」

「随分遅かったですね。」

「おっ、遅いんですよそもそも来るのが！！Aちゃんはちゃんと来てくれましたよ！！」

飼い主への罵倒に感づいたのか、伊黒の肩に乗った蛇が「シャー」と舌を出して威嚇する。

「左手と左目を失ってどうするつもりだ。たかが上弦の陸との戦いで。復帰までどれだけかかる。その間の穴埋めは誰がするんだ。」

伊黒の言葉責めが再開される。

そんな伊黒の様子に宇髄はひとつため息をついてから、

「俺は引退する。さすがにもう戦えねぇよ。お館様も許して下さるだろう。」

自身が戦線から退くことを伊黒へと告げた。

その言葉に、伊黒はさらに反論する。

「ふざけるなよ俺が許さない。柱は煉獄が抜けて空席のまま。お前程度でも居ないよりはマシだ死ぬまで戦え。」

「俺はAを柱に推薦しようと思ってる。」

宇髄は、伊黒に対してまっすぐな視線を向けてそう言った。

「まず、十二鬼月を倒した時点で柱になれてなきゃおかしいだろ。また冨岡が過保護なことをしたんだろうけど俺は甘やかすつもりはねぇ。あいつを俺の後釜にする。左手左目のない俺よりアイツの方がずっと役に立つ。」

伊黒は黙ったままだ。恐らく、今の話についての反論はないのだろう。

Aの実力は確かだ。伊黒の反応が、柱の間にも十分に広まっていることの証明にもなっていた。

後は冨岡の説得だなぁ…と思っていると、伊黒が口を開いた。

「例えAが柱についたとしてもだ。ただでさえ若手が育たず死にすぎているんだぞ。お前も戦線に立つべきだ。」

「いいや、若手は育ってるぜ、確実に。」

伊黒の言葉に、宇髄は微笑みながら即答する。

「お前の大嫌いな若手がな。」

その言葉に、伊黒は目を見開く。

しぶとい宇髄とAは生き残ると思っていた。

だが、鬼を連れたあの男が生きている可能性など端から考えてはいなかったのだ。

「おい、まさか、生き残ったのか？この戦いで、」

伊黒の顔は驚きの表情を浮かべたまま、

「竈門炭治郎が」

一人の少年の名を呟いていた。