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夢で見た顔 ページ36

縁一零式と呼ばれた絡繰を見て、炭治郎は不思議な錯覚に陥っていた。
初めて見るはずのその人形の顔は、どこかで見た記憶があったのだ。

「すみません、俺も詳しくは…戦国の世の話なので。」
面をつけた少年―――小鉄の言葉に炭治郎は息をのんだ。
戦国と言うとざっと数えて三百年ほど前だ。
そんな昔からこの人形は形を保ったまま、あの速度の戦闘をこなしているのか…と思わず息が漏れる。

凄い技術なので、今の俺達でも追いつかない。壊れてしまったらもう直せない。

炭治郎に向けてそう呟いた小鉄の瞳は、時透と絡繰の戦闘に注がれている。
「親父が急に死んで兄妹もいない。俺がやらなきゃいけないのに、刀にも、絡繰にも才能がないから…」
それであんなに必死になっていたのか、と炭治郎の胸が痛んだ。
炭治郎が再び視線を絡繰の元へと戻すと、流れるように絡繰の攻撃を躱す時透の姿が目に入った。
「あの人凄いなぁ…俺とそんなに年も違わないのに柱で…才能があって…」

「ソリャア当然ヨ!アノ子ハ日ノ呼吸ノ使イ手ノ子孫ダカラネ!」

炭治郎の言葉に応えるように、甲高い声が何かを喋った。
声の方向に目を向けると、そこに居たのは一匹の烏だった。
炭治郎の足元にいたその烏は、小さな嘴を忙しなく動かしながら甲高い声を響かせる。
あの子は天才だ、次元が違うんだというような言葉を話しているその烏。
恐らく時透の烏だろう。

その烏がぐい、と炭治郎の頬を引っ張ってくる。
痛みと一緒に炭治郎の頭にぼんやりと浮かんだのは、絡繰人形の顔だった。
あまりの衝撃に、思わず声に出してしまう。
「思い出した夢だ!俺あの人を夢で見た!!」

「ハァ馬鹿ジャナイノ?」
烏の容赦ない言葉に、炭治郎は
「なんかごめん…俺おかしいよね…」
小さな声でそう呟いて、肩を落とす。そんな炭治郎に声をかけたのは小鉄だった。

「それは記憶の遺伝じゃないんですか?」

初めて聞く言葉に目を丸くして小鉄に視線を注ぐ。
曰く、生き物は記憶も遺伝するらしく、経験していないはずの出来事に覚えがあったりするらしい。
そんなものがあるのか、と炭治郎が感心しながら小鉄の話に耳を傾けていると、絡繰と時透の戦闘に動きがあった。
バキン、という武骨な音に二人の視線が絡繰の方を向く。

優勢なのは時透だった。
左肩から前方へ振り下ろすように動いた時透の刃は、一太刀で絡繰の鎧を粉々に砕いた。
顔に入っていたヒビは、衝撃でパキパキと音を立てながら今にも崩れようとしていた。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 冨岡義勇   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:kanna | 作成日時:2019年10月22日 12時

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